【オークス有力馬診断】◎候補リンクスティップの評価は?2強を崩す可能性は…
5月25日、東京競馬場にて行われるG1優駿牝馬に向けて、『競馬の教科書(オーパーツ・パブリッシング)』の著者・玉嶋亮がXアカウントで有力馬の評価を行っている。この記事では、◎候補と△候補に分けて各馬を分析し、レースの行方を占う。
◎候補馬(軸候補)
アルマヴェローチェ
阪神JFでは、道中は中団で折り合い、外から何頭か交わして上がっていったことや、馬群が密集している位置取りであったことを考えると、馬にとってはストレスフルなレースであったと言って良い。
3,4コーナーでは距離ロスの大きい進路を通って、直線入口では致命的ではないものの、内にいた馬の煽りを食らって外へ振られるシーンもあった。
トラックバイアスは内外フラット、展開バイアスも内外フラットで、外から悠々差し切り。ゴール前でもアルマヴェローチェ1頭だけ脚色が違った。
阪神JFは文句の付けようのないアルマヴェローチェの完勝であり、桜花賞でも2着と、実力を出し切った上での好走である。
桜花賞では、2歳女王のディフェンディングチャンピオンとして受けて立つ立場だったこともあり、エンブロイダリーよりも安全運転で不利を受けないレース運びだった。
桜花賞ではエンブロイダリーに敗れはしたものの、力負けではなく、ほぼ互角と言って良い。
オークスにおけるアルマヴェローチェは、今度は2歳王者として受けて立つ立場が幾分軽くなるため、桜花賞ほど安全運転を求められる度合いが軽減される。したがって、オークスでエンブロイダリーを逆転してもおかしくない。
エンブロイダリー
桜花賞では、中団馬群の中で脚を溜め、直線では馬群の中から抜け出しアルマヴェローチェとの接戦を制した内容。
馬群の中でレースを進めるストレスフルな内容で優勝した内容は非常に価値が高く、オークスでも当然優勝候補の筆頭。
一方で、桜花賞ではアルマヴェローチェが早めに外へ持ち出して、自ら主導権を握って勝ちに行った内容であり、仕掛けが早かった分の差が出たと見ればほぼ互角。逆転があってもおかしくはない。
リンクスティップ
きさらぎ賞ではサトノシャイニングに完敗も、2着は確保した。サトノシャイニングは、現時点でクロワデュノールと対戦した馬の中で最も善戦した馬である。
また、アルマヴェローチが先着を許したマジックサンズは、NHKマイルカップで負けて強しの2着だったことを考えると、リンクスティップは牡馬相手のきさらぎ賞で2着に善戦しただけでも立派である。
クラシック第一弾の桜花賞でアルマヴェローチェとエンブロイダリーの二強には及ばず力負けだったが、それに次ぐ位置付けのリンクスティップは、オークスでも恵まれれば逆転の可能性があり、高評価すべきである。
◎候補ほか(なし)
△候補馬
エリカエクスプレス
桜花賞ではロケットスタートを決めて、単騎逃げでスイスイ運んだものの、直線ではアッサリ垂れて5着。
恵まれたにも関わらず、リンクスティップやマピュースにまでアッサリ交わされての惨敗は非常に残念な内容であった。
桜花賞の内容を振り返ると、NHKマイルカップが適鞍かと思われたが、まさかのオークスへ。800m距離延長がプラス材料に働く可能性は低い。
『どうせ垂れる…』として、ヴィクトリアマイルのアリスヴェリテのように後続が無視して放置すれば、好走の可能性はあるくらいの評価が妥当。
カムニャック
フローラステークスで重賞制覇。元々はアルテミスステークスやエルフィンステークスでまったく通用せずに、桜花賞の出走に漕ぎ着けることができなかった馬。
フローラステークスはアッサリ抜け出し完勝の内容であったが、桜花賞トライアルまでに勝ち切ることができず、敗者復活戦の色が濃いフローラステークスに回ったことを考えると、桜花賞上位3頭とは差があると見るのが妥当。
タイセイプランセス
フローラステークスで3着。通例であれば、レベルの低いトライアルでの3着なので、高い評価は不要で自動的に消し評価。
しかしながら、フローラステークスでは、全馬が直線で最もスピードに乗る残り300m前後の地点で騎手が立ち上がるほど詰まる不利で加速できなかった。
その後、進路を外へ切り替えてリカバリーしてから3着まで上がり最速の33.0で追い上げた末脚は、クラスや距離カテゴリーを問わず評価すべきである。
したがって、差しや追い込みが決まる展開に恵まれるようであれば、一発あってもおかしくない。
△候補ほか(パラディレーヌ、レーゼドラマ、レーヴドロペラ)
【了】
<プロフィール>
玉嶋亮(たましま・りょう)
1985年生まれ。本業を抱え時間の制約があるため、芝オープンクラスのみにフィールドを限定している。「能力比較」「馬場読み」を中核のファクターとして、パドックや追い切り等は一切見ないスタイル。2021年凱旋門賞の単勝万馬券、2022年AJCCの三連単288万円等の的中実績がある。「単勝多点」「変則フォーメーション」「複勝チャレンジ」等多彩な馬券術に定評があり、設計回収率=130%を公言し、累計回収率=148%を記録している。旧作「競馬の教科書(ピンク本)」は、個人出版ながら異例の大ヒットを記録し、2022年11月にベストセラーの座を譲らないまま絶版した。アマチュア最強の予想屋、日本一の競馬作家になるのが目標。
▼競馬の教科書シリーズ▼
https://tamashimaryo.wixsite.com/my-site
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