【レース条件評価】
阪神JFと桜花賞で接戦を演じた両馬だが、血統背景には大きな違いがある。アスコリピチェーノの母アスコルティは1200mと1400mで各1勝。半兄が1200~1400mで活躍したアスコルターレ、半姉が1800mで4勝のアスコルティアーモ。そこに父ダイワメジャーで「ザ・マイラー」という血統だ。
これに対してステレンボッシュは3代母がウインドインハーヘア(=ディープインパクトの母)。母母ランズエッジは菊花賞馬アーバンシックや有馬記念馬レガレイラと同じで、父はエピファネイア。血統からすると本質的には2000m以上がベストと思われる。実際、昨年は2400mのオークスで2着、香港ヴァーズでも3着と結果を残した。
ヴィクトリアマイルは「本来は中距離向き」という牝馬が出走してきては距離適性の差で飛ぶのが“恒例行事”になっている。データでいうと「オークス3着以内馬」が出走した際の成績は【1-2-1-17】で単回収率6%、複回収率30%(※過去10年)。勝ったのはアーモンドアイだけで、ほかメイショウマンボ、ミッキークイーン、スターズオンアースら二冠牝馬が2~3着止まり。2番人気以内での着外も6回ある。2400m戦とは位相の異なるレースだ。もちろんステレンボッシュも「準二冠馬」レベルの実績馬であり、上記で名前を挙げた面々に連なる可能性はあるが、積極的に狙う条件とは言い難い。
よってレース条件評価では、よりマイルに特化したアスコリピチェーノを上位に評価する。
【結論】
〇アスコリピチェーノ
桜花賞2着の後も京成杯AHを優秀な時計で勝ち、海外重賞でウインマーベル撃破など安定してパフォーマンスを発揮。「ザ・マイラー」で舞台設定も文句なし。
●ステレンボッシュ
昨年春の時点ではアスコリピチェーノと互角も、大阪杯の負け方があまりに不可解。血統的には2000m以上向きで、中長距離馬受難のレース傾向からも疑問符が付く。
したがって、今回はアスコリピチェーノを「買うべき馬」に選定します!
※前日の馬場状態まで考慮した最終結論は「競馬ナイト」(https://keiba-night.com/)で公開
【直近のGⅠ二者択一】
レース名 | 買うべき馬 | 着順 | 対抗馬 | 着順 |
---|---|---|---|---|
桜花賞 | ○エンブロイダリー | 1着 | ●アルマヴェローチェ | 2着 |
皐月賞 | ○クロワデュノール | 2着 | ●エリキング | 11着 |
天皇賞(春) | ○サンライズアース | 4着 | ●ヘデントール | 1着 |
NHKマイルC | ○アドマイヤズーム | 14着 | ●イミグラントソング | 11着 |
ヴィクトリアマイル | ○アスコリピチェーノ | – | ●ステレンボッシュ | – |
【了】
(文●鈴木ユウヤ)
<プロフィール>
鈴木ユウヤ(@ysuzuki_keiba)
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。「ワイド1点買い」の使い手。2024年の中央GⅠで回収率130%を達成。
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