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【GⅠトレンドハンター ヴィクトリアマイル】「またも波乱の気配…」上位人気馬の不安要素とは?

text by 勝木淳

重賞レースのデータ分析では過去10年が一般的だが、競馬のサイクルは短く、10年前の結果は現在と大きく異なることも多い。近年はローテーションも変化し、GⅠ戦線のトレンドが進化している。今回は、ヴィクトリアマイルの傾向をライターでGⅠトレンドハンターである勝木淳氏(@jamjam_katsuki)が考察する。

阪神ジュベナイルFを制した時のアスコリピチェーノ
阪神ジュベナイルFを制した時のアスコリピチェーノ

上位人気2頭の臨戦過程は…

 牝馬戦線は春と秋ではまるで違う顔をみせる。マイルと2200m。異なるカテゴリーで争われるのはダート戦線と同じ。同一年フェブラリーSとチャンピオンズCを勝ったのは前身のジャパンCダート時代を含め、ウイングアロー、トランセンド、ゴールドドリーム、レモンポップの4頭。ヴィクトリアマイルとエリザベス女王杯となると、ゼロ。ヴィクトリアマイルを勝ったアーモンドアイやグランアレグリアが秋には牡馬相手のGⅠを制したという歴史があるものの、この二つを同じ年に勝つ馬はいまだいない。マイルも2200mもこなす。アーモンドアイはそのイメージに近い。裏を返せば、アーモンドアイの域に達しないと、古馬牝馬GⅠ完全制覇はみえてこない。

 今年のヴィクトリアマイルはアーモンドアイやグランアレグリアといった歴史的名牝レベルは出走しない。そして、直近5年でみると、1番人気で勝ったのはアーモンドアイ、グランアレグリアのみ。名牝クラス不在の春の女王決定戦は下馬評通りに収まらない。GⅠ複数勝利のソダシなど人気を裏切らないのは確固たる実績をもった馬ばかり。実績最上位ステレンボッシュは桜花賞馬であり、比較的イメージに近い。

 しかし、昨秋以降は秋華賞、香港ヴァーズ3着、大阪杯13着と勝ち星から遠ざかっている。香港ヴァーズ3着は立派な成績ながら、大阪杯13着がどうも引っかかる。海外帰り初戦の休み明けといった考慮すべき事情はあれど、見せ場すらなかった。この敗戦からやはりマイルがベストといっていいのか。だったら、香港ヴァーズ3着の説明がつかない。秋以降、中距離ばかりを使われ、溜めて終いを活かす競馬が続いており、マイルにアジャストできるか。

 マイル対応ではアスコリピチェーノ。しかし、前走1351ターフスプリント1着は4歳時のソングラインと同じ。同馬はヴィクトリアマイル5着に終わった。翌年は同じローテーションでも10着から1着。そもそも5歳3勝、6歳1勝に対し、4歳1勝と4歳馬はやや劣勢。NHKマイルC2着などソングラインと共通項が多いだけに、今年の臨戦過程は少しばかりひっかかる。

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