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【GⅠトレンドハンター桜花賞編】ハイレベルなトライアルは疑うべき?最終的に導き出された2頭とは…

text by 勝木淳

重賞レースのデータ分析では過去10年が一般的だが、競馬のサイクルは短く、10年前の結果は現在と大きく異なることも多い。近年はローテーションも変化し、GⅠ戦線のトレンドが進化している。今回は、桜花賞の傾向をライターでGⅠトレンドハンターである勝木淳氏(@jamjam_katsuki)が考察する。

GranAlegria
第79回桜花賞を制した時のグランアレグリア

近年の桜花賞ではスローの末脚比べが減った

 今年も桜の季節が巡ってきた。再生と同時に花を咲かす桜は次に芽吹く葉のために瞬く間に散っていく。桜に人が集まるのは、その美しさの向こうにみえる儚さに誘われるからでもある。一瞬の可憐さは桜花賞というレースに似合う。生涯一度、祈りを捧げる阪神1マイル。世界中でもっとも美しいレースといっていい。

 今年の中心は阪神JFを優勝したアルマヴェローチェ。桜花賞の序章といっていい暮れのGⅠ優勝馬は直近5年で2、1、4、1、2着。直行だと[2-1-0-0]。桜花賞馬を探すには阪神JFを起点にしないといけない。

 まず、外してはいけないのが阪神JFの舞台が京都芝1600mだったこと。例年のように同舞台ではない点がどう結果に影響するのか。今年は続きではないかもしれない。

 阪神JFはアルテミスSを勝ったブラウンラチェットが主役を務め、ついで同3着ショウナンザナドゥ、新潟2歳S2着コートアリシアンが上位人気を形成した。マイル重賞実績を上にとるスタンスも、アルテミスS、新潟2歳Sどちらもスローの瞬発力勝負。軽さを求められた。

 対して、阪神JFは前後半800m[46.5-46.9]。序盤から中盤にかけて坂ののぼりで少しラップが落ちただけだった。それでいて後半は[12.0-12.0-11.5-11.4]。イーブンペースであっても京都らしい下りでラップをあげ、ゴールまで加速する形だった。

 ブラウンラチェットは輸送によるイレ込みという敗因もあったが、16着大敗。平均ペースの末脚勝負で台頭したのがアルマヴェローチェだった。ゴールに向かって加速するラップ構成は急坂の阪神ではそうみられず、この一点は気になるものの、マイラー資質を問うラップの上下動が少ない競馬で結果を残したのは大きい。

 阪神外回り芝1600mは長い直線と急坂を意識し、序盤から中盤にかけてペースが上がらない競馬も目立つ。桜花賞もかつてはそんな傾向が強く、スローの末脚比べも多かった。だが、近年は桜花賞に限らず、GⅠでのスローペースはめっきり減った。やはりGⅠという格を意識した流れになる。

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