【高松宮記念 有力馬診断】◎候補が5頭と大混戦! 現スプリント界の“決勝戦”を制するのは?
3月27日、中京競馬場にて行われるG1高松宮記念に向けて、『競馬の教科書(オーパーツ・パブリッシング)』の著者・玉嶋亮がXアカウントで有力馬の評価を行っている。この記事では、◎候補と△候補に分けて各馬を分析し、高松宮記念の行方を占う。

◎候補馬(軸候補)
トウシンマカオ
スプリンターズステークスでは、インで脚を溜めて2着。特筆すべきはその内容だ。これまで外から被される展開や馬群の中でのレースが苦手だったが、その弱点を克服しての好走は大きな成長を示すもの。元々、重賞をいくつも勝てる能力の持ち主であり、タイトな展開でも力を発揮できるようになったのは大きな前進だ。高松宮記念では、能力最上位クラスの評価が妥当である。
ナムラクレア
長らくスプリント界を牽引してきた実力馬ながら、G1タイトルにはあと一歩届かずの競馬が続いていた。不利な展開や騎乗ミスなどで取りこぼすケースも多かったが、阪神カップでは満を持してルメール騎手が騎乗。外から鋭い末脚を繰り出し、G1級メンバーを堂々と差し切って勝利。ついに本格化を印象づけた。今回は悲願のG1制覇が見えてきた一戦で、最有力候補の一頭といえる。
マッドクール
好位のインや馬群の中で立ち回ることができる器用さと、高いストレス耐性が最大の武器。道中でプレッシャーを受けても力を発揮できるタイプで、安定した戦績がそれを物語っている。阪神カップではナムラクレアに差されて力負けの印象を残したが、それでも昨年の高松宮記念勝ち馬という実績は大きい。展開と枠次第では連覇も視野に入る。
ママコチャ
オーシャンSでは圧巻の勝利を収めたが、競り落とした相手が単騎で運んだペアポルックスだったこと、かつ能力差が明白だったことから結果は順当とも言える。スプリント路線ではナムラクレアやトウシンマカオ、ルガル、マッドクールらと実力は互角。マイル路線では壁に跳ね返されたが、スプリント転向後は順調にステップアップし、スプリンターズSで戴冠。昨年の高松宮記念ではパワープレーに泣いた格好で度外視可能。スプリント界の頂点を狙える存在として、最上位クラスに近い評価で臨みたい。
ルガル
スプリンターズステークスでG1初勝利。高速馬場を活かしての3番手追走からの押し切りは見事だったが、展開が縦長で馬群密度が低く、ポツンと走れる位置に恵まれた印象は否めない。また、前有利のトラックバイアスも味方していた点は留意したい。それでも能力的には十分に通用する水準で、最上位級と比較しても遜色ない。
△候補馬
サトノレーヴ
函館スプリントSとキーンランドCを連勝し、サマースプリント王者に輝いた。ただし、この2戦だけでトップスプリンターと評価するのはやや早計で、実績・安定感で比較すると、ナムラクレア、トウシンマカオ、マッドクール、ルガル、ママコチャの方が一枚上。香港スプリントでの3着は立派だが、近年の香港スプリント自体のレベルが以前ほど高くないのも事実。サマーチャンピオンの肩書きは光るが、人気先行タイプの面があり、過信は禁物。
△候補ほか(エイシンフェンサー、オフトレイル、カンチェンジュンガ、ペアポルックス)
【了】
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<プロフィール>
玉嶋亮(たましま・りょう)
1985年生まれ。本業を抱え時間の制約があるため、芝オープンクラスのみにフィールドを限定している。「能力比較」「馬場読み」を中核のファクターとして、パドックや追い切り等は一切見ないスタイル。2021年凱旋門賞の単勝万馬券、2022年AJCCの三連単288万円等の的中実績がある。「単勝多点」「変則フォーメーション」「複勝チャレンジ」等多彩な馬券術に定評があり、設計回収率=130%を公言し、累計回収率=148%を記録している。旧作「競馬の教科書(ピンク本)」は、個人出版ながら異例の大ヒットを記録し、2022年11月にベストセラーの座を譲らないまま絶版した。アマチュア最強の予想屋、日本一の競馬作家になるのが目標。
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