【GⅠトレンドハンター 高松宮記念編】1番人気の信頼度がとにかく低い「難解レース」
重賞レースのデータ分析では過去10年が一般的だが、競馬のサイクルは短く、10年前の結果は現在と大きく異なることも多い。近年はローテーションも変化し、GⅠ戦線のトレンドが進化している。今回は、高松宮記念の傾向をライターでGⅠトレンドハンターである勝木淳氏(@jamjam_katsuki)が考察する。

中京1200m戦は「ぶっ飛ばしにくい」
直近5年の傾向を調べ、最新のトレンドを探る当コーナーだが、高松宮記念は2020~25年まで5年連続で重か不良馬場と、雨に祟られてきた。快晴だった2022年は前日の大雨が残って重馬場など道悪との戦いが続く。まずは今年こそ良馬場での開催を祈る。なにせ春のスプリント王を決めるスピードの絶対値を問うGⅠなのだ。それを削ぐ馬場状態だけは勘弁してほしい。
つまり良馬場で開催されるとなると、過去5年の道悪競馬なんて参考にならないのではないか。ついそう思ってしまうが、そこはさすがGⅠレース。たとえ道悪であっても、それぞれの馬場のなかで極限のスピード比べが繰り広げられた。ラップ構成は中京芝1200mらしい傾向がくっきり出ている。

中京芝1200mは2012年のコース改修後、コース自体が大きくなった影響を受けた。最後の直線は314mから412.5mと100m近く延びた。さらに3、4コーナーは半径が大きく、ゆったりとした作りにかわった。この影響をまともに受けたのが芝1200mのスタート地点だ。
旧コースは2コーナー奥の引き込み線入り口に置かれ、3コーナーまで500mあったが、直線と3、4コーナーが長くなったため、現在のゲート位置は向正面の半分よりやや2コーナーより。3コーナーまでは約300mと1ハロン近く短くなった。距離は同じで、正面直線と3、4コーナーが長くなれば、当然そうなる。
1200mの目安になる前半600mは旧コースが3コーナーに入ってすぐだが、現在は4コーナー入り口付近。直線部分とコーナーの割合は半々。それだけ前半600mで速い時計は出にくくなった。つまりぶっ飛ばしにくい形状になったのだ。ちなみに同じスプリントGⅠの舞台中山芝1200mは2コーナー出口から4コーナーまで下り坂が続き、600m通過は3コーナー出口付近。おまけに外回り3コーナーはコーナーともいえないほど緩やか。ぶっ飛ばしやすい構造だ。さらに中京芝1200mはスタートから100mほど緩やかだが、上り勾配になっており、ぶっ飛ばそうにも飛ばせない。
飛ばしにくい構造はラップタイムにもあらわれる。通常と同じくダッシュがつき、もっとも速いタイムが出るのは2ハロン目(200~400m)だが、次の3ハロン目はコーナー区間に入る。ここで緩むのが中京芝1200m最大の特徴。22年はここを11.0で通過し、その前10.3も合わせ、前半600m33.4を叩き、さらにその次も11.0でコーナー部分を緩みなく通過したため、後半は失速ステージに突入。34.9と上がりがかかり、落差+1.5でナランフレグのイン急襲が決まった。
この2022年は例外であり、ほかの年をみても、基本は先行勢に分がある。最初の300mで先行争いが決着できれば、あとはコーナーで自然にラップを落とせる。2022年3~4ハロン目22.0に対し、20年22.7、21年22.7、23年23.4、24年23.0。中距離と同じく中盤で緩められる構造になっている。こうなれば先行勢は最後に急坂があっても、脚を残せる。なにせスプリント頂上決戦に挑むほどの韋駄天たち。わずかな溜めさえあれば、簡単には止まらない。
直線が400m以上あり、急坂も設けられたことで、差しが決まりやすくなったようにみえるものの、実はそうではない。特に短距離戦の場合、前半600mがコースのどの箇所にあたるのかチェックすると、脚質やペースの傾向が浮かびあがってくる。ほかのコースでも応用してほしい。道悪の影響はここには関係ない。基本は先行勢の競馬になると考えよう。