【フェブラリーS 考察】過去10年のレースラップから導き出される「軸候補」と「爆穴馬」は?
中央競馬最初のG1レースであるフェブラリーSが行われる東京ダート1600mは、スピードが問われる舞台だ。そのため、このコースを得意とする馬が好走しやすい。今回は、過去10年のレースラップを基に「ハイペース」を経験した馬に注目し、本命にふさわしい馬と高配当の使者になりうる馬を導き出す。
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東京ダートマイルをこなすスピード王は誰だ!
今週末は、競馬ファン待望のフェブラリーステークスが行われる。JRA今年初のG1ということで、G1恒例の真面目な考察も約2ヶ月ぶりの復活。オカルトデータ研究室(明日更新予定)のほうは、G1のない期間も私のXで細々と更新していたが、こちらの考察は東京大賞典以来。2025年初更新ということで、幸先よく初日を出していきたい。
早速考察を始めていく。フェブラリーステークスが行われる東京ダート1600mの特徴としてまず大きなポイントは、芝スタートであること。これによりダートスタートよりもダッシュがつきやすく、テンの入りが速くなりやすい。過去10年のレースラップを見ると、10年のうち8年でスタートから2F目に10秒台を記録。これは200m〜400m区間であるため、もちろん既にダートコースを走っているのだが、最初に100m強走る芝でダッシュがつきやすいため、速くなりやすいと考えられる。
そしてその影響もあって、前半600mも速い入りになりやすい。過去10年のうち9年が、ダート1600mとしてはハイペースに分類される3F33〜34秒台で通過しており、過去10年の平均は34秒46。それに加えて長い直線と坂が待っていることもあり、過去10年で逃げ切り勝ちを決めたのは2019年のインティのみ。ちなみにこの年は、過去10年で唯一前半3Fが35秒台となる、35秒8で入った年であった。
このデータから、今年もハイペースで推移する可能性のほうが高そう。激流だと決め打ちして、速い流れに対応できる馬を狙っていきたい。そこで今回は、先ほど述べた過去10年のレースラップに近いレースで勝利経験のある馬をピックアップ。条件としては、
①スタートから2F目に10秒台をマーク。
②前半3F通過が過去10年の平均34秒5以下。
このふたつの条件をともにクリアしたレースを探してみたところ、今年の出走馬が勝利していたレースは7つあった。
①2021年オアシスS 東京ダ1600m(良)
2F目10秒7 前半3F34秒4
勝ち馬タガノビューティー
②2021年欅S 東京ダ1400m(稍)
2F目10秒4 前半3F33秒9
勝ち馬タガノビューティー
③2023年コーラルS 阪神ダ1400m(良)
2F目10秒8 前半3F34秒4
勝ち馬タガノビューティー
④2023年御影S 阪神ダ1400m(稍)
2F目10秒3 前半3F33秒6
勝ち馬エンペラーワケア
⑤2024年フェブラリーS 東京ダ1600m(良)
2F目10秒8 前半3F33秒9
勝ち馬ペプチドナイル
⑥2024年武蔵野S 東京ダ1600m(良)
2F目10秒4 前半3F33秒8
勝ち馬エンペラーワケア
⑦2025年根岸S 東京ダ1400m(稍)
2F目10秒6 前半3F33秒9
勝ち馬コスタノヴァ
レース自体は7つあったが、勝ち馬にかぶりがあるため、該当するのは以下の4頭。
・タガノビューティー
・エンペラーワケア
・ペプチドナイル
・コスタノヴァ
この4頭が、今回データから導き出された推奨馬ということになる。もちろん速い流れのレースを未経験だからと言って、それをこなせない裏付けにはならないが、速い流れで結果を出している馬のほうが信頼度は高いと、今回は判断した。
結果的に、人気が予想されそうな馬たちが数多く該当したわけだが、1400mではなく1600m、脚抜きの良い馬場より良馬場で厳しい流れを経験している馬を上位にとると、4頭の中でもタガノビューティー、ペプチドナイル、エンペラーワケアが本命候補。
あとは直近でマークしている順に順位づけして、エンペラーワケアを最上位とした。ちなみに、この方法で考察すると厳しい評価になるのが、こちらも人気の予想されるミッキーファイト。JRAで挙げた3勝はいずれも速い流れとは言えず、前半3F通過は35秒7までしか経験したことがない。フォーエバーヤングと僅差の競馬をしていることから能力の高さは間違いないだろうが、フェブラリーステークスの流れに対応できるかは未知数と見ている。
また、この考え方でいくと、推奨馬で挙げた4頭以外にもう1頭の爆穴馬が浮かび上がってくる。それがヘリオスである。すでに明け9歳を迎えており、近況結果が出ていないため、まったく人気はしないだろう。ただ2020年の霜月Sでは、2F目10秒8、前半3F34秒6という、過去のフェブラリーステークスに近いラップで勝利している。もちろん4年3ヶ月も前の記録であるため、同じ走りをするのは難しいかもしれないが、この舞台への適性は高く、穴候補として最後に挙げておく。
◎エンペラーワケア
○ペプチドナイル
▲タガノビューティー
△コスタノヴァ
穴ヘリオス
消ミッキーファイト
【了】
(文●中西友馬)
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