【ジャパンC 外国馬診断】馬主が“あおりまくる”ゴリアット。凱旋門賞馬を倒した実力は本物か?
先週のマイルCSで、外国馬のチャリンが強いレース内容で5着に好走を果たした。その結果からも俄然注目を集めているのが、今週のジャパンカップに遠征してくる外国馬3頭である。ここでは、その外国馬3頭の紹介と個人的な取捨について、1頭ずつ書いていきたい。オーギュストロダンに続く2頭目は、フランス調教馬のゴリアットだ。
ゴリアットはオーギュストロダンと同じ4歳馬ながらG1タイトルは1つのみ。これだけ聞くと、例年苦戦している外国馬たちと同じだと思われがちだが、この1勝であるキングジョージがかなり価値のある勝利であった。
そのレースには、前出オーギュストロダンも出走。その他にも、後の凱旋門賞馬ブルーストッキングや、後のBCターフ馬レベルスロマンスなどの豪華メンバーが集結していた。そんな中、最後の直線で1頭だけ痺れる手ごたえで抜け出したゴリアット。9頭立ての7番人気という伏兵評価ながら、レース内容的には完勝と言っていいものであった。
あとは日本の馬場への適性だけだが、芝2400mの持ち時計はそのキングジョージでマークした、2分27秒43。
さらに父アドラーフルークの代表産駒は、凱旋門賞馬トルカータータッソやバーデン大賞馬イキートスで、完全なドイツ血統。ちなみにイキートスは、2年連続でジャパンカップに挑戦して7着と15着という結果であった。
これだけを見ると高速馬場に適応するのは難しそうに感じられるが、その同じ父を持つイキートスは、2分33秒79の持ち時計でジャパンカップに挑み、結果は2分26秒4の7着。4着のゴールドアクターとはタイム差なしという走りを見せた。
ちなみに、キングジョージの勝ち馬が同年のジャパンカップに出走するのはゴリアットが4頭目。過去の3頭は、1990年ベルメッツ7着、2002年ゴーラン7着、2009年コンデュイット4着と馬券には絡めていないが、いずれも勝ち馬から1秒以内と大敗はしていない。ゴリアットはこの3頭よりも速い時計でキングジョージを勝利しており、通用する下地はあるとも言える。
では実際、ゴリアットの取捨はどうなのか。ここからは私個人の見解となる。
ジャパンカップのプレレーティングが発表され、ゴリアットは125をマークしてメンバー中トップの数字となった。続くのがドウデュースとオーギュストロダンの122であり、ゴリアットが頭ひとつ抜け出している状況である。
それでも、ゴリアットが1番人気になることはないだろう。人気に関しては読めない部分もあるが、5〜6番人気ぐらいが妥当だと予想する。
そもそもゴリアットのプレレーティングが高すぎるのではないかという意見もあるだろうが、それほどまでに今年のキングジョージはメンバーレベルが高かった。
そしてゴリアットの勝ち方も伏兵馬のそれではなく、あの日に関しては一枚も二枚も上のレベルの馬に見える勝ち方であった。まだ見ていない方がいたら、ぜひ見ていただきたい。
客観的に一番実績があると認められている馬を5〜6番人気の良いオッズで買える。それだけでも食指が動くが、さらに鞍上はスミヨン騎手。
それまで目立った成績がなく、前2戦のG2で敗れていたゴリアットにキングジョージで初騎乗し、テン乗りでプレレーティング125のパフォーマンスを発揮させた立役者である。
日本でもお馴染みのトップジョッキーで、ジャパンカップも2014年に制している。この時は、いまや種牡馬として大活躍中のエピファネイアにテン乗りで騎乗し、後続を4馬身ちぎっての勝利であった。
まさに鬼に金棒といったコンビで、ジャパンカップ19年ぶりの外国馬勝利にも期待が持てる。
以上の理由から、ゴリアットの個人的な取捨としては積極的に買いたいと判断する。
【了】
(文●中西友馬)
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