
重賞38連敗――。レジェンド武豊が“プチスランプ”にあえぐ中、突如として舞い込んできたのが世代屈指の素質馬アランカールとの新コンビ結成だ。前走・阪神JFでは北村友一の大胆な後方待機策が物議を醸し、元ジョッキーから「ちょっと自信過剰な騎乗」との批判も飛んだ。そのバトンは百戦錬磨の武豊騎手へ。果たして名手は、クラシック候補の才能をどう導くのか。陣営が描く“逆襲”の青写真に注目が集まる。[2/2ページ]
「乗りやすかったです」武豊騎手が感じたアランカールの可能性
武騎手の前に突如として現れたクラシック候補のアランカール。チューリップ賞はあくまでも先を見据えての一戦となるが、レジェンドに“試運転”の機会が与えられたことは、アランカールにとっても非常に大きいだろう。
すでに野路菊Sを勝っているため、少なくともオークスまでは賞金面の心配がないアランカール。チューリップ賞のレースぶりに注目が集まるが、元騎手の安藤勝己氏は阪神JFのレース後、自身のXにとあるヒントを綴っていた。
「負けはしたけどアランカールの落ち着きと、取り付いていく時の脚は一級品。斉藤厩舎で先々楽しみしかない」
5着に敗れたアランカールだったが、安藤氏は気性面とその脚力を絶賛。その上で、斉藤崇史厩舎の育成力をもってすれば、必ずや成長の軌道に乗せると予想している。
その一方で、安藤氏は「アランカールは馬任せやと進んで行かない。前半押すか我慢して直線勝負に懸けるべきやった」ともポスト。藤田氏と同様に北村友騎手の騎乗ぶりを暗に批判していた。
これまで通り後方待機策を取るのか、それとも先行策を試すのか……。武騎手なら1週前追い切りで初コンタクトを取った際にアランカールの癖をつかんでいてもおかしくないだろう。
実際に、チューリップ賞の1週前追い切りで新パートナーに初めて跨った武騎手は意外な乗り味を感じ取ったようだ。
「言うまでもありませんが、いい馬。勝手なイメージで少し掛かる面があるのかなと思っていましたがそうではなく、乗りやすかったです」(武豊日記=2月19日付)
アランカールのこれまでのレースぶりから、武騎手は乗り難しい印象を抱いていたとみられるが、むしろ乗りやすいと感じた様子だ。前走から約2か月半の間に厩舎をはじめとした陣営の弛まぬ努力もあっただろう。
アランカールは2週前、1週前、そして最終追い切りと、栗東CWで3週連続の好時計をマーク。阪神JFで先着を許したタイセイボーグという強敵がいるものの、レースでは断然の1番人気に推されることになるはずだ。
安藤氏が「完全にオークス向き」とも評したアランカール。オークスまでの3か月間で3走することになりそうだが、果たして陣営はピークをどこに持ってくるのか。武騎手なら牝馬クラシック2冠奪取の青写真はすでに描いているかもしれない。
【了】
【著者プロフィール:中川大河】
競馬歴30年以上の競馬ライター。競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。「日刊SPA!」「SPAIA競馬」などで記事を執筆中。
【関連記事】
・【チューリップ賞・全頭調教診断】S評価は1頭のみ!好調教はどの馬?全出走馬の仕上がりを徹底チェック
・【チューリップ賞・能力分析】元トラックマンが実績×適性×騎手を数値化!有力候補アランカールの評価は?
・【中山記念・全頭調教診断】S評価は1頭!巻き返しを図るチェルヴィニア含む全頭の仕上がりを徹底チェック


