【敗戦の本質 チャンピオンズカップ 有力馬の採点】ナルカミやダブルハートボンドなどを徹底分析

12月7日(日)のチャンピオンズカップでは、ダブルハートボンドが牝馬として10年ぶりの優勝を飾った。では、優勝馬を含む各馬の走りはどう評価できるのだろうか。今回はレースを終え、注目すべき3頭を取り上げ、「パフォーマンス」「舞台適性」「今後の伸びしろ」の三つの観点から、それぞれを点数化していく。[1/2ページ]
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注目馬3頭の採点
ダブルハートボンド
着順:1着(3番人気)
パフォーマンス:10
舞台適性:10
今後の伸びしろ:9
戦前の予想通りに内枠2頭が先行する態勢とはなったが、少し想定外だったのがシックスペンスの積極策。やはりダート2戦目で砂をかぶるのを嫌がったのか、ルメール騎手も抑えることなく先頭に並びかける。
この争いからすぐに引いたのが、ダブルハートボンドの坂井瑠星騎手。並走する2頭を見る形の3番手を確保し、直線ではかなり余裕のある手ごたえ。外からメイショウハリオが伸びてくるのを待ち構えたように追い出し、最後は内を突いたウィルソンテソーロの追撃をハナ差凌いでの勝利。
内から一瞬出られそうになったところを、ゴール直前でもうひと伸びした場面は、まるで馬自身がゴール板を分かっているかのようなタイミングであった。
さらには、2〜4着馬を中団〜後方から進めていた馬たちが占める中、3番手から抜け出す横綱相撲での勝利。着差以上にこの馬の強さを感じるレースであった。
鞍上の坂井瑠星騎手も、オーサムリザルトと大競りになったブリーダーズゴールドカップの反省を生かした、落ち着いたエスコート。昨年までレモンポップに騎乗してこのレース連覇を達成しており、これでチャンピオンズカップ3連覇となった。
牝馬によるチャンピオンズカップ制覇は、サンビスタ以来10年ぶり2頭目の快挙。前走レコード勝ちからの中3週というハードルも見事にクリアし、前走とはまったく違う良馬場でも強さを発揮した。
前回牝馬で勝利したサンビスタは引退レースとなったため、この馬の今後のローテーションはまったく読めない。ただ、この馬は牝馬とはいえフォーエバーヤングやミッキーファイトと同じ4歳世代。キャリアもまだ8戦であり、伸びしろは十分にありそうだ。
ラムジェット
着順:3着(7番人気)
パフォーマンス:8
舞台適性:7
今後の伸びしろ:7
中団の後ろあたりからレースを進めていたが、前半1000mを迎える前から鞍上の三浦騎手は促す仕草。3〜4角の中間ではどの馬よりも手ごたえが悪く映り、大敗を覚悟するような脚いろ。
後ろからメイショウハリオが上がっていったときも先に行かれてしまったが、ここでやっとエンジンが点火。1800mで行われたレースの約半分が追い通しだった三浦騎手の叱咤に応えてジリジリと伸び、最後に一度抜かれたメイショウハリオを抜き返して3着を確保した。
外をスムーズに回れていたことが好走に繋がったことは確かだが、終始外々を回り続けていたこの馬が、上位2頭に比べて相当長い距離を走ったこともまた事実。その中での3着確保は立派であり、鞍上の三浦騎手も相当大変な思いをしたと思われる。
追い通しだったレースぶりからも、この馬にとって1800mは少し短く、JRAの軽い砂よりは地方の深い砂のほうが合っている印象。この馬も強い4歳世代の1頭であり、スタミナに関しては現役トップクラスのものがあることを証明したレースであった。



