【木之前 葵騎手インタビュー <後編>】吉原寛人騎手への敬意、そして木之前騎手の“職業病”とは…?
騎手として10年以上のキャリアを重ね、数々勝利を重ねてきた木之前葵騎手。
後編では、彼女が尊敬する吉原寛人騎手への思いや、仲間とのエピソード、そして新しい名古屋競馬場で感じる変化について語ってもらった。
騎手として、そして一人の人間として——さらに高みを目指す木之前騎手の“今”に迫る。
ケイズレーヴの力を最大限に発揮させた吉原騎手
――乗ってみたい馬や、レースはありますか?
(木之前)この前エキシビションレースで乗せてもらってすごく楽しかったので、「ばんえい競馬」にはまた乗ってみたいです。
あとは、海外の競馬には騎乗したいという気持ちがありますね。
――今まで海外での騎乗経験はあるんですか?
(木之前)もう10年ぐらい前になるんですけど、イギリスとアブダビで、アラブのレースに乗せていただく機会がありました。
雰囲気も全然違って楽しかったし、すごく良い経験になったので、もう一度海外で乗りたいなっていう気持ちはありますね。
――では、乗り方を参考にしていたり、目標にしている騎手の方はいますか?
(木之前)参考にしたくても全然できないのですが、吉原寛人さんです。
最近でも、私が調教をつけているケイズレーヴという馬に、笠松の「ぎふ清流カップ」で乗ってもらったんです。
後方から追い込んで勝ったんですけど、向正面ではまだ一番後ろだったんですよ。最後方であんなに落ち着いて、あそこまで脚を溜めた乗り方は、ちょっと私にはできないなと思いました。
――笠松競馬で最後方にいてどっしり構えるのは、よほど自信があっても難しそうですね。
(木之前)たしかにケイズレーヴは、長く良い脚が使えるタイプではなくて、一瞬の切れ味がセールスポイントなんです。なので、持ち味が一番発揮できる乗り方だとは思います。
ただそれが分かっていても、あそこまで落ち着いて脚を溜められないと思いましたね。道中でちょっとでも動かすと、あんなに良い脚は使えない。それが分かっていても、途中で動かしちゃう。
吉原さんは本当に最高のレースをしてくださって、見ていて感動しました。