
フライングスタート方式こそボートの魅力!
――フライングの罰則も厳しくなっていて、スタートでなかなか攻めにくいですよね?
そうですね。でも私は、ボートレースの一番の魅力は、フライングスタート方式だと思うんです。だからこそ、ペナルティーが厳しくても、スタートで攻めていける選手がすごく魅力的だと思うんです。
――たしかに、スタートで攻める選手は買いたくなりますね。改めて、フライングの罰則をお聞きしても良いですか?
まず、1本目のフライングで、1ヶ月の休み+罰金、2本目になると3ヶ月の休み+罰金になります。あと、愛知県の碧南に訓練所があるんですけど、そこに行ってスタート訓練を受けなくてはいけません。
さらに、それが優勝戦のフライングしてしまうと、事故点も大きく加算されたりして、来期にまで影響が出てしまいます。
そうなると、常に事故点を意識しながら走らなくてはならないので、同じレースを走る選手との戦いではなく、自分との戦いになりますね。
――3ヶ月の休みとなると、やはり生活への影響もありますか?
そうですね。徳島に菅章哉さんというすごく面白い先輩がいて、その人がフライング3本切ってしまって…。3本切ると、半年間の休みになります。さらに来期はB2っていう一番下のランクからのスタートになるので、生活的にも厳しくなるんですよ。
――たしかに影響は大きそうですね。
菅さんは一家の大黒柱でお子さんも3人いらっしゃるので、節約しなくちゃいけないって言っていて。練習のときに敷地内の庭で水を飲んで、そこに生えていたよもぎを食べて、「これで飢えをしのぐ!」って言っていましたね(笑)。
まぁそれはパフォーマンスだと思いますけど、選手からしたら生活がかかっているのは確かです。結婚している選手は、家族を養わなければならない面もありますし。
――西岡選手は、何本持ちまで経験あるんですか?
F2までは経験ありますね。1回だけなんですけど、F2して本当に自信を失いました。フライングって、選手自身すごくショックな出来事で、私は「この世の終わりだ」ってくらいまで落ち込みました。でも落ち込んでても仕方ないし、練習するのみって思った矢先、練習中に怪我をしてしまって。
――厳しいことが重なってしまったんですね。
F2した瞬間が絶望の底だと思っていたのが、さらに底があるのかって逆に吹っ切れましたね。どん底だから、あとは上がっていくしかないって。競馬を始めたのは、その怪我で入院してたときです(笑)。