HOME » コラム » 競馬の基礎知識 » ステイゴールド産駒獲得賞金ランキングトップテン。海外でも存在感を発揮! 個性豊かな“黄金旅程”の血 » ページ 10
Orfevre
オルフェーヴル引退式

1位 オルフェーヴル(15億7,621万円)

 ステイゴールド産駒の中で最多獲得賞金を誇るのは、2011年のクラシック三冠馬にして、日本競馬の悲願である凱旋門賞制覇にあと一歩まで迫った名馬、オルフェーヴルである。

 オルフェーヴルはデビュー戦からその個性を強烈に印象づけた。新馬戦で1着入線後、内ラチまで切れ込み、鞍上を振り落として放馬。早くもその激しい気性が課題となることを予感させた。

 スプリングステークスで重賞初制覇を果たし、迎えた皐月賞。この年は東日本大震災の影響で中山競馬場が使用できず、東京競馬場での開催となった。不利とされる外枠発走だったが、3馬身差をつける完勝でクラシック初冠を手にする。続く日本ダービーは雨による不良馬場の中でも鋭い末脚を発揮し、難なく二冠目を達成。

 前哨戦を快勝して臨んだ菊花賞では、直線入り口で早くも先頭に立ち、そのまま独走態勢に持ち込み、見事クラシック三冠を達成した。さらに、暮れの有馬記念では古馬を圧倒する走りで現役最強を証明。この年、オルフェーヴルは約8億円の本賞金を獲得した。

 翌年、凱旋門賞制覇を目指すオルフェーヴルは、始動戦の阪神大賞典で伝説的なレースを演じる。残り800m付近で突如急失速し、故障発生かと思われたが、そこから再び馬群の大外を回って猛追し、先頭争いに加わるという驚異的な巻き返しを見せた。今なお語り継がれるレースとなった。

 その後、宝塚記念を快勝し、満を持して凱旋門賞へ挑戦。前哨戦を勝利し、同コースへの適性を示したオルフェーヴルは、本番の凱旋門賞で直線、馬群の外から鋭く伸び、残り300mで先頭に立つ。日本競馬史上初の凱旋門賞制覇が目前に迫った瞬間、内ラチ沿いに寄れるロスが響き、まさかの2着。歴史的快挙は惜しくも達成されなかった。この年、オルフェーヴルは6戦3勝で約3億5000万円を獲得した。

 翌年、再び凱旋門賞制覇を目指し、始動戦の産経大阪杯を快勝。しかし、その後は体調が整わず、ぶっつけ本番で臨んだフランス遠征では前哨戦を勝利。リベンジを誓った凱旋門賞だったが、地元フランスの怪物牝馬トレヴに5馬身差をつけられ、またも2着に終わった。悲願は叶わなかったものの、引退レースとなった有馬記念では、8馬身差の圧勝劇を披露。競馬ファンに鮮烈なラストランを刻み、堂々とターフを去った。

 オルフェーヴルの生涯獲得賞金は15億7621万円。気性の荒さと類まれな才能を併せ持った名馬として、ステイゴールド産駒の獲得賞金ランキングの頂点に立っている。

【了】

(文●目白明

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