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Balance of Game
第56回セントライト記念(新潟)のバランスオブゲーム

4位 バランスオブゲーム(6億1769万5000円)

性別:牡馬
戦績:29戦8勝 [8-3-2-16]
主な勝ち鞍:03年毎日王冠(G2)、06年オールカマー(G2)、05、06年中山記念(G2)、02年弥生賞(G2)、セントライト記念(G2)

 第4位となったのは、不本意にも“G2コレクター”と称されたバランスオブゲーム。2003年の毎日王冠や引退レースとなった06年のオールカマーなど獲得したG2は数えること6つ。これは国内で歴代最多の数字となっている。G3の新潟2歳Sを加えると重賞7勝の堂々たる戦歴だった。

 馬主は、今なお根強いファンが多くいる競馬ゲーム『ダービースタリオン』を開発した薗部博之氏であった。このゲームから本物の競馬にハマった人も多いだろう。その薗部氏が、1999年のセレクトセールの当歳馬部門において870万円(税抜)で落札したのがこのバランスオブゲームである。

 3戦無敗でダービーを制し、“和製ラムタラ”と称えられたフサイチコンコルドが父で、その数少ない代表産駒の一頭にもなっている。半弟には2014年のG2アルゼンチン共和国杯など重賞6勝を挙げたフェイムゲームがおり、近親からもケイデンスコールやインダストリアなど重賞ホースが出ている。

 バランスオブゲームは、01年8月の新潟競馬場でデビュー勝ちを果たすと、続くG3新潟2歳Sを制し、薗部氏に初めての重賞タイトルをプレゼント。まずは賞金約3000万円を獲得した。連勝の勢いでG1朝日杯FSに挑戦したが、4着に入るのが精いっぱいであった。そして、翌年からG2コレクターとしての道がスタートする。

 まず02年のG2弥生賞を制し、賞金5000万円以上を加算。しかし、春のクラシック2冠は着外に終わった。仕切り直しで挑んだ秋のG2セントライト記念では見事優勝。約5500万円の賞金を獲得した。本番のG1菊花賞では5着に終わった。3歳の主要なG2タイトル2勝を挙げたバランスオブゲームは、この年に約1億2000万円を稼ぎだした。

 4歳になってもG2レースでは強さを発揮する。中山記念、日経賞で連続着に入ると、秋の毎日王冠では2馬身差での快勝を果たした。G1ではもう一押し足りなかったが、重賞でコンスタントな活躍を見せ、本賞金約1億5000万円を加算した。

 迎えた5歳、産経大阪杯4着をステップに、続くG1安田記念で悲願のタイトル奪取を狙ったが、ここでも勝ち切るまでには至らず3着に惜敗。その後は中山記念連覇を成し遂げると、春の大一番・宝塚記念で3着に健闘した。その年の秋、15回目のG1挑戦となる天皇賞(秋)の前哨戦G2オールカマーを優勝し、6回目のG2制覇となった。いよいよG1獲得の態勢は整ったと思われたが、レース直前の調教で左前脚の浅屈腱不全断裂の重傷を負い引退を余儀なくされた。

 G1未勝利で重賞7勝という珍しい記録を残し、稼ぎ出した賞金は6億1769万5000円。最後のレースで勝ったまま、競走生活に幕を下ろすこととなった。

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