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LemonPop
第40回フェブラリーSを勝ったときのレモンポップ

⑤2023年(勝ち馬レモンポップ)

 ノンコノユメが大井で現役引退した翌年となる、2023年のフェブラリーステークス。この年に注目を集めていたのは、ともにJRA・G1初挑戦となる2頭であった。

 1番人気は、5歳馬のレモンポップ。脚部不安で1年以上の長期休養を挟んでいたため出世に時間がかかったが、デビューから10戦して7勝2着3回と、ここまで連対率100%。前走の根岸Sで重賞初制覇を飾って、ついにG1の舞台へとたどり着いていた。

 2番人気は、4歳馬のドライスタウト。こちらは2歳時に3戦3勝で全日本2歳優駿を勝利。距離を延長した兵庫CSで4着と敗れたが、マイル以下の距離なら5戦4勝2着1回と、こちらも連対を外していなかった。

 そしてこの2頭は、どちらも戸崎騎手が主戦を務めているという共通点があった。しかし、レモンポップはフェブラリーステークスに登録をしていたものの、状態面を見てから出否を決めるという慎重な態勢であったため、戸崎騎手はドライスタウトとのコンビ継続が決定。一方のレモンポップは、1週前追い切り後に正式に出走を表明。坂井瑠星騎手との新コンビで挑むこととなった。この2頭が単勝オッズ2.2倍と3.2倍の支持を集めて、発走を迎えた。

 レースは、メイショウハリオの落馬寸前となる大きな躓きで幕を開け、観客から大きなどよめきが上がった。ショウナンナデシコがハナを切り、レモンポップとドライスタウトは並ぶように好位を追走。前半800mの通過は46秒6と、ほぼ平均ペースで進んでいく。人気2頭は常に同じようなポジション取りで、好位の内にドライスタウト、外がレモンポップと並んだまま4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、固まった馬群の外めから楽な手ごたえでレモンポップが抜け出しを図る。ドライスタウトは多少スムーズさを欠いた場面もあったが、レモンポップの加速についていけずに離されてしまう。抜け出したレモンポップを目指して、後方から脚を伸ばしたレッドルゼル、さらに後ろから大出遅れを巻き返してメイショウハリオも追いかけてくるが、レモンポップがそれらを振り切って勝利。1馬身半差の2着にレッドルゼルが入り、さらに2馬身半離れた3着にメイショウハリオ、ドライスタウトは4着となった。

 勝ったレモンポップは、G1初挑戦でG1初制覇。そして、このレースで初タッグを組んだ坂井瑠星騎手とのコンビで、現役引退までにG1級レースを6勝。この時代のダート界を席巻する存在となっていった。

 今回紹介した5頭以外にも、歴代の勝ち馬には、ダート界の名馬がズラリと並ぶフェブラリーステークス。今年はどんな熱戦が繰り広げられるのか、楽しみにしながら見ていきたい。

【了】

(文●中西友馬

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