HOME » コラム » 5選 » 【フェブラリーS名勝負 5選】ダート馬たちの大目標! 競馬史に残る“砂の激闘”をピックアップ » ページ 3
CopanoRickey
第31回フェブラリーSを勝ったときのコパノリッキー

③2014年(勝ち馬コパノリッキー)

 メイショウボーラーの逃げ切り勝ちから9年が経った、2014年のフェブラリーステークス。この年も、戦前から2強ムードが漂っていた。

 1番人気は、6歳馬のベルシャザール。元々芝を走っており、3歳時にはダービーでオルフェーヴルの3着に入っていた実績馬が、前年の5月にダート路線へと転向。すると、初ダートからわずか半年ほどでJCダートを制覇。明け6歳馬でありながら、ダート界の新星という立ち位置であった。

 2番人気は、5歳馬のホッコータルマエ。こちらはデビューから一貫してダートのみを使われており、この時点で既にG1級を5勝していた。ただ、その5勝はいずれも地方交流のレースであり、JRAのG1となるとJCダートで2年連続3着に入ったのみであった。前年のJCダートで敗れたベルシャザールを倒しての、JRA・G1初制覇を目指していた。この2頭が単勝オッズ2.7倍と3.6倍の支持を集めて、発走を迎えた。

 レースは、芝スタートでダッシュを利かせたエーシントップがハナを切り、コパノリッキーが2番手を追走。ホッコータルマエは好位の外めに位置を取り、ベルシャザールは中団の後ろあたりから進めていた。早めに隊列が決まったことでペースはそこまで速くなく、前半の800m通過は48秒0。G1ということを考えると、若干遅めとも言える流れで進んでいった。そのまま隊列に大きな動きはなく、4角を回って最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、残り400mでエーシントップは失速。2番手からコパノリッキーが先頭へと立つが、その外からホッコータルマエが並びかけてくる。早めにホッコータルマエが抜け出すかに見えたが、並ばれてからしぶとさを見せたコパノリッキーがなかなか前に出させない。その後ろからベルシャザールも伸びてきたが、楽なペースで先行していた前の2頭の脚いろは衰えず、最後まで前に出させなかったコパノリッキーが押し切って勝利。半馬身差の2着にホッコータルマエが入り、ベルシャザールが3着となった。

 勝ったコパノリッキーは、なんと単勝272.1倍の16頭立て16番人気。今回がG1初出走だった同馬は、前2走OP特別で10着と9着に敗戦。2分の1の抽選をくぐり抜けて出走まで漕ぎつけており、鞍上の田辺騎手ともども、嬉しいG1初制覇となった。

 単勝最低人気の馬のJRA・平地G1勝利は3例目で、単勝2万7210円は、1989年のエリザベス女王杯を制したサンドピアリスに次ぐ、JRA・G1史上2番目の高額配当であった。この後、G1級最多勝利となる11勝を挙げたコパノリッキーのG1初制覇は、2強を撃破して高配当を演出したこのレースであった。

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