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1位 ドウデュース(17億7,587万円)
ハーツクライ産駒で最も多くの賞金を獲得したのはドウデュース。武豊騎手を背に、波瀾万丈の競走生活を送りながらも、2歳から5歳まで毎年GⅠを制し、ドラマチックな勝ち方で多くのファンを魅了した。
ドウデュースが初めてファンの心を掴んだレースは、武豊騎手に22回目の挑戦で初制覇をもたらした朝日杯フューチュリティステークスだろう。この勝利で一躍クラシックの主役に名乗りをあげた。クラシック第一戦の皐月賞では、最速33秒8の鋭い脚を使うも、3着に敗れる。しかし、次戦の日本ダービーへの期待を持たせる内容だった。
迎えた競馬の祭典・日本ダービー。前半1000mが58秒9のハイペースの中、ドウデュースは後方でしっくりと脚を溜める。そして直線、皐月賞でみせた鋭い脚が爆発。武豊騎手のゴーサインとともに加速すると、先団を一気に捉え先頭に立った。大外から猛追するイクイノックスを振り切り優勝。勝ちタイムの2分21秒9はダービーレコードとなり、優勝賞金約2億2000万円を獲得した。
秋は凱旋門賞へ出走したが、いつもの力を発揮できず着外に沈んだ。それでも合計で約3億円を獲得し、3歳シーズンを終えた。
4歳になったドウデュース。復帰戦の京都記念で勝利し、勢いそのままにドバイ遠征へ向かう。しかし、現地到着後に左前肢ハ行を発症し、無念のレース回避という決断となった。長期休養をはさみ、天皇賞(秋)で復帰を果たすも思うような走りができず惨敗し。続くジャパンカップでも4着に入るのがやっとだった。
復権をかけて臨んだ有馬記念。怪我から復帰した武豊騎手が騎乗すると、人馬一体のレースを披露した。2周目の3コーナーから大外をまくっていくと、最後の直線も力強く伸びて、人馬ともに劇的な復活勝利を飾った。ドウデュースはこの勝利で約5億円の本賞金を獲得した。
ライバルのイクイノックスが引退し、現役最強馬として迎えた5歳シーズン。この年も春はGⅠで連敗を喫すると、復活を期した天皇賞(秋)で、ドウデュースは日本ダービーを制したときの鋭い脚を見せた。
スローペースの中、大外から32秒5の末脚で見事差し切り、劇的な復活勝利を飾り、賞金約2億2000万円を獲得した。続く引退レースとなったジャパンカップでも上がり32.7秒の豪脚を繰り出し優勝。本賞金約5億円を加えた。
引退までの賞金獲得総額は17億円を突破した。ドウデュースは勝ったり負けたりの波瀾万丈の競走馬であったが、勝つべき時には勝つ。その姿はまさに千両役者であった。
【了】
(文●目白明)