中内田調教師との“黄金コンビ”は鉄板
絞って騎乗するスタイルだけにお得意先も限定的であり、決して万遍なくという騎手ではない。その中でも特に信頼関係が強いのが、中内田充厩舎だ。データ集計期間の2020年から2024年の5年間で、中内田厩舎とのコンビは122勝を挙げており、他の厩舎を大きく引き離している。この数字は、2位の友道康夫厩舎と比較してもダブルスコア。黄金コンビである。
川田騎手と中内田調教師の関係は、小学生時代からの親交に基づく特別なものだ。お互いに忌憚なく意見を言い合える間柄であり、その深い信頼関係が黄金コンビを築いている。このコンビが1番人気のレースでは、以下のような圧倒的な成績を残している。
勝率:44.3%
複勝率:70.5%
ファンにとって「安心して買える」領域にあるといえるだろう。
ただでさえ注目を集める川田将雅騎手と中内田充厩舎のコンビだが、その人気ゆえに馬券で利益を上げるのは簡単ではない。そこで距離別成績をみる。どれも優秀で、正直、どの距離でも買えるといえばそれまでだが、最多30勝の1600mの単勝回収値111は見逃せない。ほぼ1番人気だが、2、3番人気で勝ち切り、5、7番人気での好走もある。
中内田厩舎といえば、2歳や3歳のマイルGⅠでの活躍が印象的だ。ダノンプレミアム、グレナディアガーズ、リバティアイランドは川田騎手とのコンビによるものだ。頼りになるマイル戦でプラスなら、ベタ買いで的中率、回収値も稼げる。ほかにも出走数が多くなく、イメージは薄いが、2000mを越える中距離カテゴリーも好成績。リバティアイランドで牝馬三冠を制したが、やはり競馬界の頂点ダービーを目指すとなると、このカテゴリーでの成績は大いに意味がある。今後、2400m向きの血統が入ってくれば、チャンスはやってくる。黄金コンビにとって、次なる夢でもある。
とはいえ、少々気になる点もある。中内田厩舎への騎乗数だ。
2020年:76鞍/22勝(重賞2勝)
2021年:84鞍/30勝(重賞3勝)
2022年:81鞍/25勝(重賞2勝)
2023年:75鞍/26勝(重賞6勝)
2024年:65鞍/19勝(重賞4勝)
21年を頂点に騎乗数がじわじわと減少傾向にある。24年は19勝で20勝を割った。たまたまといえばそうかもしれない。そんな小さな変化ではある。重賞はクイーンズウォーク、プログノーシス、エリキングで4勝しており、その信頼関係に異変があったとはいえない。
だが、ダービーを目指す器だったエリキングは骨折、川田騎手が手綱をとっていたロードデルレイは中日新聞杯で乗り替わり。この日、川田騎手は京都で騎乗。中内田厩舎のダノンシーマで未勝利を勝っており、どういった事情かはわからない。だが、集計期間外の今年の日経新春杯では西村淳也騎手で重賞初Vを飾った。このレースも川田騎手はヴェローチェエラに騎乗。先約だった可能性が高く、下衆の勘繰りかもしれない。しかし、この騎乗数と勝ち星の減少が今年どうなるのか。こっそり気にしてみたい。