⑤コントレイル
※2025年に産駒デビュー予定
現役時代の戦績で言うと、ディープインパクトの後継者に一番近いと考えられるのが、同じく無敗の三冠馬となったコントレイルである。
2019年9月にデビューしたコントレイルは、新馬戦を快勝。このレースぶりに素質を感じとったコントレイル陣営は、2戦目に出世レースとされる、東スポ杯2歳Sを選択した。初の重賞挑戦に初の関東遠征、初騎乗のムーア騎手と初物尽くしであったが、直線で抜け出して5馬身差の圧勝。2歳レコードタイム更新のおまけ付きであった。続くホープフルSでも好位から難なく抜け出し、デビューから無傷の3連勝でのG1制覇を果たす。同世代には、既にデビューから3戦3勝で朝日杯FSを制していたサリオスがいたが、最優秀2歳牡馬のタイトルを獲得した。
3歳となったコントレイルは、トライアルや前哨戦を使わず、皐月賞に直行した。皐月賞には、同じく朝日杯FSからの直行となった前出サリオスも出走しており、この両馬の初対決に注目が集まっていた。残り200mからは2頭のマッチレースとなるが、最後は力でねじ伏せたコントレイルが半馬身差で勝利した。
続くダービーでは、コントレイルが好位につけてサリオスは後方寄りという、皐月賞とは逆の位置どり。先に抜け出したコントレイルを目標にサリオスが迫るが、ラストで脚の上がったサリオスに3馬身差をつけて快勝した。夏を経て迎えた菊花賞。サリオスはマイル路線に進んだため出走しなかったが、ここで現れたのが春のクラシックには出走していなかった夏の上がり馬、アリストテレスであった。名手ルメールに導かれたアリストテレスは、道中からコントレイルを徹底的にマーク。外からプレッシャーをかけ続け、直線では馬群から抜け出してのマッチレース。2冠馬相手に並びかけるところまでいったが、コントレイルはアリストテレスが前に出ることを許さず、クビ差凌いでゴールした。
圧倒的な人気に応え、父ディープインパクトと同じ7戦7勝で、史上3頭目となる無敗の3冠馬となった。
その後はなかなか勝ち星に恵まれなかったが、引退レースとなるジャパンカップでは、断然人気に応えて菊花賞以来1年1ヶ月ぶりの勝利。最終レース終了後に、引退式も東京競馬場で行われた。有終の美を飾り、コントレイルはターフに別れを告げた。
翌年からは種牡馬生活をスタートし、初年度から193頭もの種付け頭数が集まった。今年ついにデビューを果たす、産駒の活躍が期待される。
今回紹介したのは後継馬という観点から牡馬だけであったが、ジェンティルドンナやグランアレグリアなど、牝馬の活躍馬も多数輩出したディープインパクト。昨年ストップするまで13年連続でG1制覇を果たし、リーディングサイアーにも11年連続で輝くなど、偉大な父サンデーサイレンスの後継種牡馬として文句なしの成績を残した。
今後はその血脈を、どの産駒が受け継いでいくのか楽しみである。
【了】
(文●中西友馬)