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「馬」とのつながりでいえば、断然エピファネイア

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⑥種牡馬別成績

 ダノンデサイルつながりで種牡馬別成績からエピファネイアとの相性をみる。「馬」とのつながりでいえば、断然エピファネイアだ。こちらも単複回収値は143、111でベタ買い決定。

 ロードカナロア、ハーツクライも悪くないが、回収値が100を下回ってしまう。エピファネイアはダノンデサイルのダービーが大きく数値に影響しているとはいえ、4、5番人気で7勝と手ごろな配当もゲットできる。エピファネイア産駒はその父シンボリクリスエスから受け継ぐロベルトの血が特徴。ロベルト×サンデーサイレンスという組み合わせなので、モーリスと似た構成で、切れ味一歩でもスピード競馬に対応でき、なによりロベルトの底力が大舞台で威力を増す。

 大一番で実力伯仲の激戦になると、最後はほぼ持続力勝負であり、ゴール前で底力が試される。そこで輝くのがロベルトだ。エピファネイアもデアリングタクトなど一発大物の血であり、決してリーディングサイヤー向きではないが、なにせ大物出現のインパクトが大きい。

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⑦ 特注 エピファネイア×横山典弘 枠番別成績

 そんなエピファネイア産駒は条件戦レベルでは不器用なタイプが多く、馬群で我慢し、ストライドを相手に合わせるような競馬が得意ではない。横山典弘の場合、1枠の成績がいいので、注意したいが、基本は5枠から外。特に7、8枠の成績がよく、単複回収値も7枠166、105、8枠136、236と心強い。

 外目で気分よく。これが横山典弘のリズム重視の姿勢を示す。とはいえ、全部が全部じゃないのが競馬の面白いところ。馬の人間と同じ。一定の型にはめ込みすぎてはいけない。ダノンデサイルはその真逆のタイプで、好位で流れに乗れるスタートセンスと器用さを兼備する。有馬記念も1番枠からあっさりマイペースに持ち込んだ。

 だが、エピファネイアの危なっかしさはダノンデサイルとて例外ではない。菊花賞はダービーに続き内枠に入ったものの、ライバルたちが続々と前に入ってくる競馬にリズムを乱し、勝負所では後方に近いポジションまで下がってしまった。それでも6着と差を詰めており、さすがダービー馬といえるが、リズムが狂うと修正に苦労するのはエピファネイアらしい。

 年明け初戦AJCCは確勝級の支持を受けるだろうし、横山典弘×安田翔伍の黄金データに合致するものの、決して簡単ではないだろう。あくまでマイペース先行が条件になる。

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⑧エピファネイア×横山典弘 距離別成績

 最後にエピファネイア×横山典弘の狙いどころをもう少し。距離変化なしがもっともよく、回収値ベースだと距離延長が302、155と頼もしい。不器用さが目立つエピファネイア産駒にリズム重視の横山典弘となると、やはり前走から距離が変わらず、同じようなレースができる方がいい。合わせるならペースが遅くなる距離延長で、前走よりゆったりと急かさずにレースに入れれば、前走以上の力を発揮できる。

 そのため、回収値が上昇するという正のスパイラルを呼ぶ。決して短縮も数字としては悪くはないが、ペースがあがって追走に脚を使うより、脚を溜めやすい形が狙いどころだ。

・昆貢→寺田千代乃氏所有馬
・昆貢×寺田千代乃→乗り替わり
・安田翔伍→東京中山遠征
・安田翔伍×東京中山→前走関西圏から継続騎乗
・エピファネイア→7、8枠
・エピファネイア→同距離か距離延長

 年明け3日間開催では騎乗機会3連勝など、今年も変わらず腕達者ぶりを発揮する。デビュー40周年の節目を迎える職人は今日も愚直に馬のリズムに寄り添い、信頼してくれる関係者たちの期待に応える。変わらないものと変えるもの。その取捨選択に憧れる男だ。

【了】

(文●勝木淳

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