③2007年(勝ち馬ロックドゥカンブ)
コスモバルクフィーバーから3年が経った、2007年のセントライト記念。この年の牡馬クラシックは、歴史に残るレースが続いた。
1冠目の皐月賞では、7番人気ヴィクトリーが勝利し、2着も15番人気のサンツェッペリン。3連単は162万円超という大波乱を演出した。
続くダービーでは、ウオッカが牝馬64年ぶりのダービー制覇を果たすという歴史的な快挙。さらには2着に14番人気のアサクサキングスが入ったことで、こちらも3連単215万円超の高額配当となった。
ウオッカは秋華賞へと向かい、菊花賞の絶対的存在が不在で迎えた秋シーズン。セントライト記念で1番人気に支持されたのは、春2冠に未出走のロックドゥカンブであった。
ロックドゥカンブは3歳3月にデビュー。一般的にはかなり遅めの初戦であったが、この馬は南半球のニュージーランド産。表記上は3歳であったが、北半球の馬より半年遅く生まれていた。そのぶん負担重量を軽減される措置はあったにせよ、半年早く生まれた馬たちを相手に、無傷の3戦3勝でラジオNIKKEI賞を制覇。重賞連勝を目指し、セントライト記念に出走していた。
2番人気はゴールデンダリア。こちらはダービーTRのプリンシパルSを制し、ダービーでも6着という結果を残していた。この2頭が単勝3倍前後という拮抗した人気に推され、発走を迎えた。
レースは、アップルサイダーがハナを切るが、そのすぐ外にトップモンジューが並びかけ、2頭で後続を引き離していく。離れた3番手集団にロックドゥカンブがつけ、ゴールデンダリアは後方集団で脚をためる展開。前半1000mは59秒1と、速めのペースで通過した。レースが動いたのは、3角手前。前の2頭のリードが一気に詰まり、トップモンジューは早々と後退。代わってスクリーンヒーローなどが2番手集団を形成する。ロックドゥカンブはそのすぐ後ろのインコースで前の争いを見る形。前は横に大きく広がって4角を回り、最後の直線へと向かう。
前は逃げるアップルサイダーを交わして、残り300mを切ったあたりでスクリーンヒーローが先頭へと立つ。しかしそれも束の間、その外へと持ち出したロックドゥカンブが襲いかかり、大外からは後方待機のゴールデンダリアも伸びてくる。残り100mで先頭に立ったロックドゥカンブを目がけてゴールデンダリアが追い込むが、最後はゴール前でもうひと伸びを見せたロックドゥカンブが振り切って勝利。ゴールデンダリアから3馬身離れた3着には、スクリーンヒーローが粘り込んだ。
勝ったロックドゥカンブは、デビューから4戦4勝で重賞2勝目。菊花賞でも1番人気に推されたが、アサクサキングスの3着に敗れて初の敗戦を喫する。しかし、続く有馬記念では初の古馬相手に4着と健闘。南半球産だけに、古馬になってからの伸びしろに大きな期待が集まったが、翌年の宝塚記念のレース中に靭帯を断裂。重度の怪我であったため、そのまま現役引退となった。
ポテンシャルの高さは誰もが認めるところであったため、怪我さえなければどれだけの活躍をしていたのか、見てみたい馬であった。