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勝ち馬にはあの超良血名牝も! 乙女たちが最後の一冠を狙うために負けられない前哨戦【ローズS 5選】

text by 中西友馬

1983年に創設されたローズステークス、当初京都芝2000mで行われていた。1996年以降は秋華賞トライアルとなり阪神に移動した。2007年からは阪神芝1800mとなり、過去4度中京芝2000mでも開催され、2024年も中京開催予定である。そんなローズステークスの歴史から5つのレースをピックアップして紹介する。

第21回ローズステークスのアドマイヤグルーヴ(写真左)

①2003年(勝ち馬アドマイヤグルーヴ)

 最初に取り上げるのは、2003年のローズステークス。この年の注目はスティルインラブ。メジロラモーヌ以来、17年ぶり2頭目となる牝馬3冠に王手をかけた秋華賞に向けて、秋初戦にローズステークスを選択していた。
そして相手筆頭と目されていたのが、春2冠ではともに1番人気に支持されていた、超良血馬アドマイヤグルーヴ。その春2冠では桜花賞3着、オークス7着と結果が出なかったが、そのぶんスティルインラブを倒しての秋華賞奪取に燃える前哨戦であった。

 1番人気はスティルインラブで単勝1.9倍。アドマイヤグルーヴは単勝3.0倍と僅差の2番人気で続き、3度目の対決で初めて、スティルインラブが1番人気となって発走を迎えた。
 
 レースは、ヤマカツリリーがハナを切り、後続をグングンと突き放していく。スティルインラブはいつものように好位から進め、アドマイヤグルーヴはその1列後ろからスティルインラブを見るようにポジションを取る。ヤマカツリリーの大逃げにより縦長の馬群となったわりに、前半1000mの通過は61秒0というほぼ平均ペース。ヤマカツリリーが10馬身近いリードを保ったまま4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ってもヤマカツリリーのリードが急激に縮まることはなく、未だ5馬身以上のアドバンテージ。2番手から外に出して差を詰めようとするスティルインラブだが、久々の+22キロが影響したか伸び切れない。代わって伸びてきたのは、直線の進路に内を選択したアドマイヤグルーヴ。スティルインラブを交わして2番手に浮上すると、1完歩ごとにヤマカツリリーとの差を詰めていく。最後はヤマカツリリーの外へと切り替え、きっちりと差し切って勝利。1馬身差の2着にヤマカツリリーが粘り込み、スティルインラブはまさかの5着に敗れた。

 勝ったアドマイヤグルーヴは、満を持して秋華賞に臨むも、再びスティルインラブに敗れての2着。スティルインラブの牝馬3冠を許すこととなったが、直後のエリザベス女王杯でリベンジを果たし、G1初制覇。翌年のエリザベス女王杯も制し、連覇を達成した。

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