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レイデオロ ~名伯楽・名騎手と共に勝ちとった“ダービー馬”の称号~

text by 沼崎英斗

レイデオロ(Rey de Oro)

スペイン語で「黄金の王」という意味を持つレイデオロ。その輝きは自身だけでなく、ルメール騎手と名伯楽・藤沢和雄調教師を初のダービー制覇へと導き、彼らにも新たな栄光をもたらした。そして、彼の産駒たちも、その輝きを未来へ繋いでいくだろう。

Rey de Oro
第84回東京優駿を制したレイデオロ

プロフィール

性別 牡馬
キングカメハメハ
ラドラーダ
生年月日 2014年2月5日
馬主 キャロットファーム
調教師 藤沢和雄
生産牧場 ノーザンファーム
通算成績 17戦7勝 [7-2-1-7]
獲得賞金 8億8155万円
主な勝ち鞍 2017年 日本ダービー
2018年 天皇賞(秋)
受賞歴 2017年 最優秀3歳牡馬
2018年 最優秀4歳以上牡馬
産駒成績 産駒デビュー年:2023年
通算重賞勝利数:0勝
通算G1勝利数:0勝
代表産駒

~名伯楽・名騎手と共に~

 日本ダービーの走りは衝撃だった。常識外の奇襲を見せた名手クリストフ・ルメールの手腕に導かれたレイデオロは、まさに人馬一体。第84代日本ダービー馬に相応しいパフォーマンスであった。

 父はキングカメハメハ、母はラドラーダ。母も祖母も管理した名伯楽・藤沢和雄師の元に入厩することになった幼駒は、デビュー前から評判の的で、デビュー戦では単勝1.7倍の人気であった。道悪の中、1.1/4馬身差で快勝して、レイデオロの競走馬としての歩みが始まった。

 続く二戦目は中山競馬場、芝2000mの葉牡丹賞を選択した。出走メンバーで唯一、上がり34秒台の脚を使い快勝。

 2歳最後のレースは、年末のホープフルステークス(GⅡ)。当時はGⅠではなかったものの、有力馬が揃う一戦となった。レースは後方3番手で進めたが、最後の直線では他馬を一気に抜き去り、ここでも力の違いを見せつけた。藤沢調教師の悲願である日本ダービー制覇へ視界は良好となった。

 春はステップレースから皐月賞のローテーションを予定されていたが、ソエの影響により皐月賞に直行することを余儀なくされた。レースでは出遅れて後方からの競馬となり、直線で差をつめたものの5着まで。

 結果的に皐月賞が叩きとなり、大一番へ向かった。

 ダービーでは、再び後方からとなったが、1000m通過63.2秒という超スローペースの展開。それを感じ取ったルメール騎手は3コーナー手前で2番手まで位置を上げる。抑えが効かなくなるリスクがあったが、レイデオロはしっかり2番手で折り合い、最後の直線へ。

 早めに先頭に立ち、後方から迫ってきたスワーヴリチャードに抜かせず、3/4馬身差をつけて勝利。藤沢調教師に悲願の”ダービートレーナー”の称号をプレゼントした。またクリストフ・ルメール騎手にとっても初めてのダービー制覇となった。

 休養後の神戸新聞杯を圧勝すると、古馬路線のジャパンカップに駒を進める。キタサンブラックやサトノクラウンなど強豪が出走する中、レイデオロは単勝2番人気に推された。

 古馬相手にもダービー馬の実力を見せたいところであったが、先に抜け出したシュヴァルグランに1.1/4馬身及ばず2着となった。しかし、ダービー制覇とジャパンカップ2着という功績が評価されて、この年の最優秀3歳牡馬を受賞した。

 4歳になって、初戦の京都記念を3着として、ドバイシーマクラシック(G1)へ。超スローペースの中、後方からになったレイデオロは4着になるのが精一杯であった。

 帰国後の春は全休し、秋のオールカマーで復帰。皐月賞で敗れたアルアインをゴール前で交わして1年ぶりの勝利を挙げた。

 そして、日本ダービー以来のGⅠを制覇すべく、天皇賞(秋)に挑む。出走馬12頭という少頭数になったが、5番手を追走し、外目から上がっていくレイデオロ。ロングスパートで勝負をしかけ、日本ダービーを彷彿とさせるような走りを見せ、1着で入線。

 淀みのない展開となった走破タイムは、当時の歴代2位。文句のつけようのない強い勝ち方であった。

 その後は有馬記念にファン投票1位で出走するも、稍重の馬場で先に抜け出したブラストワンピースを捉えきれずクビ差の2着に敗れた。この年もG1での安定感のある走りが評価され、最優秀4歳上牡馬を受賞した。

 翌5歳は合計5戦走ったが、最高が4着と再び栄冠を掴むことはなく引退となった。

 引退後は社台スタリオンステーションにて種牡馬生活を送り、2023年から産駒がデビューしている。2024年現在、まだ産駒による重賞制覇こそないが、将来性を感じさせる素質馬も現れている。レイデオロというのはスペイン語で”黄金の王”という意味だ。その黄金が周囲の喧騒をよそに輝きを取り戻す日が待ち望まれる。

【了】

(文●沼崎英斗)

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