ブラストワンピース ~足元の不安を戦いながら……雄大な馬体を持つ人気者~
ブラストワンピース(Blast Onepiece)
3歳で有馬記念を制したブラストワンピース。高額馬ではなく、デビュー時の評価も決して高くはなかった。それでも確かな才能を発揮し、一躍クラシック戦線の主役候補に名乗りを上げる。だが思うような結果を残せず、挫折を味わった。そして迎えた3歳の有馬記念。すべての思いをぶつけ、一気に頂点へ。
プロフィール
性別 | 牡馬 | |
父 | ハービンジャー | |
母 | ツルマルワンピース | |
生年月日 | 2015年4月2日 | |
馬主 | シルクレーシング | |
調教師 | 大竹正博 | |
生産者 | ノーザンファーム | |
通算成績 | 18戦7勝 [7-0-1-10] | |
獲得賞金 | 5億8942万1000円 | |
主な勝ち鞍 | 2018年 有馬記念 | |
受賞歴 | 2018年 最優秀3歳牡馬 |
クラシックの借りは“有馬記念”で返す
【写真で見る】ブラストワンピースの軌跡 ~有馬記念でクラシックの雪辱を果たした天才~
3歳にして、有馬記念を制したブラストワンピース。しかし、シルクレーシングで募集された価格は、1口4万円(500口募集、総額2000万円)と、決して高額馬とはいえない存在であった。
また、デビュー戦での評価も5番人気とそれほど高くなく、500キロを超える雄大な馬体ではあったが、まだ緩さの残る体つきであることは陣営も認識していた。
それでも鮮やかに新馬勝ちを収めると、体質や脚元を考慮して間隔を空けながらも、3連勝で毎日杯を制覇。皐月賞は見送り、ダービーがG1初挑戦となった。
この年のダービーは、皐月賞が波乱の決着となったこともあり、絶対的な主役が不在であった。1番人気は挫跖により皐月賞を回避したダノンプレミアム。2番人気にブラストワンピースが続き、皐月賞組ではない無敗馬2頭が1、2番人気となった。
レースでは出遅れに加えて、道中や直線でもスムーズな競馬ができない苦しい展開となった。それでも上位争いには加わったが、ワグネリアンの5着に敗れ、デビューからの連勝は3でストップした。
その後、秋は古馬相手の新潟記念をステップレースとして、菊花賞へ向かった。新潟記念を快勝したものの、1番人気に支持された菊花賞では4着に敗退。そして冒頭に触れた、有馬記念への挑戦となる。
この年の有馬記念で3歳馬の参戦はブラストワンピースのみ。1番人気は、前年のダービー馬レイデオロ。前年の菊花賞馬キセキが2番人気に続き、ブラストワンピースは3番人気であった。
しかし、この上位人気馬と同等の注目を集めていたのが、5番人気のオジュウチョウサン。障害界の絶対王者の有馬記念参戦に、ファンは心躍らせていた。
レースは、好位から抜け出したブラストワンピースが、外から追いすがるレイデオロの追撃をクビ差抑えて勝利。サトノダイヤモンド以来2年ぶりの、3歳馬による有馬記念制覇となった。
古馬となって以降、G1では掲示板に載ることができなかったものの、G2のタイトルを2つ獲得。また時計のかかる馬場への適性が見込まれ、凱旋門賞にも挑戦した。
現役引退後は、スタミナタイプに対する需要の点から種牡馬になることは叶わず。しかし現在は、馬場馬術の競技馬としても活躍を見せており、今でもファンから根強い人気を誇っている。
【了】
(文●中西友馬)