④ウインブライト
4頭目は、中山記念連覇を達成したウインブライト。中山芝1800mのGⅠがあれば国内GⅠを取れていただろうと、言われていたほど、この条件では無類の強さを誇っていた。そして、中山競馬場では10戦5勝2着2回と好走していることから、“中山の鬼”と呼ばれた。
2016年にデビューしたウインブライトは、年明け初戦、中山での条件戦に出走。最終コーナーから長く脚を使い、2勝目を挙げると、続くスプリングステークスでは中山独特のコーナーを上手く利用した、積極的なまくりで、直線半ばで先頭に立つと、後続の追撃を抑え、重賞初制覇を果たした。
その後の皐月賞は8着、日本ダービー15着と結果が出なかったが、秋の福島記念で重賞2勝目を挙げ、3歳シーズンを終える。4歳初戦は、皐月賞以来の中山参戦となる中山金杯。終始前団からレースを進め、直線で一時先頭に立つが、最後は離されて2着に終わる。
次走は中山記念。ここまで2戦2勝と中山芝1800mは得意条件であったウインブライトは、やや離れた4番手から前を追う。3コーナーから勢いよく進出すると、直線で先頭を捉え、重賞3勝目を挙げた。これで中山芝1800mは3戦3勝となった。いよいよ次はGⅠ取りへと機運が高まるが、出走した大阪杯、マイルチャンピオンシップとそれぞれ惨敗を喫した。
5歳となったウインブライトは前年に続き、中山金杯から始動。トップハンデの58キロを背負ったが、直線で外から差し切り勝ちを収め、重賞4勝目。得意の中山では重賞3勝目となった。前年と同じく出走した中山記念では、4番手と好位につけると、直線で抜け出し連覇を達成。コンビを組む松岡騎手は、中山金杯後に負傷のため休養を余儀なくされるが、このレースでもウインブライトに騎乗することを希望し、復帰。万全ではない中、まさに執念の勝利であった。
次走は香港のクイーンエリザベス2世カップに出走。このレースで念願のGⅠを海外国際レースで飾った。秋はオールカマーから始動したが直線でずるずると後退し、得意の中山だったが9着と大敗。しかし、立て直して出走した、香港カップでは直線の競り合いを制し見事に優勝。外国調教馬としては初となる、同一年クイーンエリザベス2世カップと香港カップの2冠の快挙を達成した。
ウインブライトは、翌年の香港カップ2着を最後に引退。中山で重賞4勝を挙げたウインブライトは、中山の鬼であると同時に、“シャティンの鬼”でもあった。