【騎手マニュアル】「レジェンドを支える人」から見る、武豊騎手の狙いどころは?
いわずと知れた競馬界のレジェンド「武豊」。競馬を知らない人でも武豊の名前だけは知っていることは多い。長年の競馬ファンからすれば、「親の顔より見た名前」と言ってもいいのではないか。今回は、そんな競馬界のスーパーレジェンド武豊の「馬券の買いどき」をライターの勝木淳氏(@jamjam_katsuki)に考察してもらった。
競馬界のレジェンド・武豊騎手の狙いどころは?
今年、JRAは発足70周年のアニバーサリーイヤーを迎えたが、武豊騎手(以下、敬称略)のデビューは1987年だから、38年目。つまり、JRAの歴史の1/2以上を現役騎手として生きてきたことになる。現役アスリートとしての歴史が桁違いに長い。だが、レジェンドは決して一線級とは距離を置く昔の人ではない。ジャパンC終了時点で83勝をあげ、JRAリーディングは9位とトップ10入り。このまま順位を維持し、今年を終えれば、32回目。トップ10から漏れたのはたった6回しかない。秋の古馬中距離三冠を目指すドウデュースで魅せる神騎乗はかつて「ユタカマジック」という見出しが躍ったころとなんら変わっていない。変わらない55歳。その手綱さばきに価値がある。
かつて、穴党にとって武豊は越えなければいけない壁だった。1、2番人気はほぼ武豊であり、2着以下を簡単には外してくれない。武豊とは馬券の相性が悪い。そんな嘆きを口にする人はたいてい穴党といってよかった。だが、レジェンドと敵対し続けるのも疲れた。なんとか上手に付き合えないものか。そんな穴党の思いにも応えるべく、武豊との付き合い方、狙いどころについて「人」に注目し、調べてみた。
①調教師別成績
調教師 | 1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
友道康夫 | 26 | 12 | 12 | 57 | 24.3% | 35.5% | 46.7% | 98 | 78 |
武幸四郎 | 22 | 22 | 19 | 85 | 14.9% | 29.7% | 42.6% | 61 | 87 |
森秀行 | 22 | 14 | 12 | 98 | 15.1% | 24.7% | 32.9% | 69 | 85 |
松永幹夫 | 19 | 21 | 19 | 91 | 12.7% | 26.7% | 39.3% | 69 | 83 |
須貝尚介 | 17 | 10 | 8 | 44 | 21.5% | 34.2% | 44.3% | 100 | 79 |
武英智 | 16 | 10 | 6 | 37 | 23.2% | 37.7% | 46.4% | 94 | 88 |
音無秀孝 | 16 | 9 | 8 | 36 | 23.2% | 36.2% | 47.8% | 171 | 94 |
池江泰寿 | 15 | 10 | 3 | 36 | 23.4% | 39.1% | 43.8% | 97 | 68 |
南井克巳 | 11 | 8 | 9 | 39 | 16.4% | 28.4% | 41.8% | 118 | 80 |
吉村圭司 | 10 | 11 | 8 | 36 | 15.4% | 32.3% | 44.6% | 91 | 99 |
2020~2024年11月24日までの調教師別成績をみる。トップ10には武豊の現在の立ち位置が透けてくる。ドウデュースの友道厩舎と主戦だった森秀行厩舎、実弟の武幸四郎厩舎、親戚の武英智厩舎、小中同級生で学生時代、競馬トークに夢中だった池江泰寿厩舎、そしてかつて一緒に騎乗した元騎手仲間の名前が並ぶ。これら応援団が武豊を支えている。同年代の騎手たちが調教師へ転身するなか、騎手を続けてきた。継続する力を高く評価するのは、身をもって実感できる元騎手たちでもある。
下の世代には武豊に憧れ、ホースマンになった調教師も増えてくる。「憧れの武豊に乗ってほしい」そんな調教師、馬主もまた、この先のレジェンドを支えるだろう。おそらく、本人がもう乗りたくないと言わない限り、現役を続けられるにちがいない。馬に恵まれる以上に人に恵まれている。これが武豊の原動力でもあり、強みだ。人を決して不快にさせない物腰の柔らかさ、包容力もまたユタカマジックだ。
具体的にデータをチェックすると、ドウデュースの友道厩舎が勝利数でトップ。勝率は24.3%と高く、優秀だ。菊花賞7番人気3着アドマイヤテラなど穴まで提供する。ノーザンF、社台Fの良血馬が集まり、毎年、ダービーに出走馬を送るトップステーブルとの関係は武豊にとっても重要だ。ただし、気になるのはデータ期間内の騎乗数。
20年10-3-3-12/28鞍
21年7-6-4-14/31鞍
22年3-2-1-16/22鞍
23年2-0-3-6/11鞍
24年4-1-1-9/15鞍(~11/24まで)
騎乗数、勝利数とも右肩下がり。今年はドウデュースの勢いもあり、持ち直しているが、同馬が引退した来年以降の変化には注目すべきだ。
②友道厩舎×武豊・生産者別成績
生産者 | 1着 | 2着 | 3着 | 着外 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | 単勝回収値 | 複勝回収値 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ノーザンF | 21 | 12 | 11 | 44 | 23.9% | 37.5% | 50.0% | 98 | 82 |
社台F | 5 | 0 | 1 | 8 | 35.7% | 35.7% | 42.9% | 129 | 80 |
ケイアイF | 0 | 0 | 0 | 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
Coolmore | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
酒井牧場 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
社台C白老F | 0 | 0 | 0 | 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |