ルメール様、異教徒たちが囁く「ダートはめっちゃ苦手」説を検証【チャンピオンズC】
今週はダート中距離の頂上決戦『チャンピオンズカップ』が行われる。今週ルメール様が騎乗するのは出走メンバー唯一の地方所属馬ミックファイアである。地方所属馬が中央ダートG1を制したのは、メイセイオペラが勝った1999年のフェブラリーSまでさかのぼる。それを聞いただけで、今回は厳しい気はするのだが、ルメール様にはまことしやかに囁かれる噂がある。それは「ルメール様のダートは芝ほど信頼できない」という説である。というわけで、その説が正しいものなのか? 『ルメール自信あります専門家』の中毒じゃない象さん(@chudokuzzz)に検証を依頼した。
「ルメール様のダートは芝ほど信頼できない」のか?
今週はダートG1のチャンピオンズCが行われる。中央競馬においてダートG1はフェブラリーSとこのチャンピオンズCしかないこともあり、ダート馬にとっては夢の舞台と言って良いだろう。
で、このチャンピオンズCにルメール様はミックファイアに騎乗されるわけだが、現時点でnetkeibaの予想オッズは14番人気の単勝オッズ55.7倍と随分と舐められた数字になっている。
これは当然、ミックファイアがここ数戦凡走を続けているというのが主たる理由なのだろうが、多少なりとも「ルメール様のダートは芝ほど信頼できない」という競馬ファンの心理も反映されていることだろう。
これまでルメール様はG1を53勝されているが、内訳は芝のG1が48勝、ダートG1が5勝となっており、芝のG1を多く勝っているという印象からか、ルメール様は「芝の方」というイメージが競馬ファンにはあるのかもしれない。
■(参考)ルメール様のダートG1勝利一覧
だが、平地のG1は全部で24個あるものの、その内ダートG1は2個しかない。つまり普通にいくとダートの占める割合は8%程度である。
先ほどの数字を計算すると、ルメール様のG1勝ちにおいてダートは9%強を占めるわけで、少なくともG1においてはダートが苦手ということは言えないはずである。
というわけで、今回はルメール様が本当に芝と比べて、ダートを苦手としているのかを調べてみよう。
とりあえず過去10年の芝とダート別の成績はこちらである。
■芝・ダート別成績
競馬初心者はこの数字を持ち出して、「ルメールはダートでは駄目だ。複勝率は芝と比べて6%も下がる」などと言う。
だが、敬虔なるルメール信者諸君はこんな数字のマジックに騙されてはいけない。
一見、ダートの方が成績が悪く見えるかもしれないが、勝率や複勝率を比較する際には、「出走頭数」というものを考慮しなければならない。
極端な話、出走頭数が6頭立てのレースだと6頭の中で3着までの椅子を争うだけで済むのに対し、出走頭数が18頭立てのレースだと18頭の中で3つの椅子を争うことになるので、当然複勝率は変わってくるのである。
というわけで芝とダートにおけるそれぞれの平均出走頭数を出してみると
・芝:13.5頭
・ダート:14.6頭
となり、ダートの方が平均出走頭数は多い。
つまり、ダートの方がそもそも勝率や複勝率が下がりやすい条件になっているのだ。
なので、単純な勝率や複勝率の比較ではルメール様がダートを苦手としているなんてことは言えないのである。
実際、馬質をある程度揃えるために1番人気に限定したうえで、頭数別の成績を出してみると、下記のようになり、ルメール様のダート成績が悪くないことは一目瞭然である。
■ルメール様の頭数別騎乗成績(1番人気時)