⑨2018年(勝ち馬アーモンドアイ)
エピファネイアの勝利から4年が経った、2018年のジャパンカップ。この年は、1頭の3歳牝馬に注目が集まっていた。その名はアーモンドアイ。
ジェンティルドンナ以来、史上5頭目の牝馬3冠に輝いたアーモンドアイは、同じくジェンティルドンナ以来、史上2頭目となる3歳牝馬によるジャパンカップ制覇を目指して出走していた。
単勝1.4倍という圧倒的な支持を集めており、古馬との初対戦にも関わらず、アーモンドアイがどんな勝ち方を見せるかに焦点が集まるレースであった。
レースは、キセキがハナを切り、ノーブルマーズが2番手を追走。最内枠から好スタートを決めたアーモンドアイは、3番手のインコースを確保する。キセキの作り出した流れは、前半1000mの通過が59秒9というほぼ平均ペース。
アーモンドアイはノーブルマーズとほぼ並んだ2番手のインコースでキセキを追いかけ、先頭と3馬身ほどの差で4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ってもキセキの逃げ脚は衰えず、追いかけるアーモンドアイも一気に交わす展開とはならない。それでもジリジリと詰め寄り、残り200mを切ったあたりでついに捕えて先頭へ。キセキも必死の抵抗を見せるが、それをねじ伏せるように引き離していく。そのまま先頭でゴールしたアーモンドアイ。
ロンジンの電光掲示板には、2分20秒6という信じられないタイムが表示されていた。2着にはレースを作ったキセキが粘り込み、そこから3馬身半離れた3着にスワーヴリチャードが入った。
勝ったアーモンドアイは、牝馬3冠に続いて4つ目のG1タイトルを獲得。勝ち時計の2分20秒6は、2005年のジャパンカップでアルカセットが記録した2分22秒1の日本レコードを1秒5も更新する、とてつもない世界レコードであった。
アーモンドアイは、その後もG1勝利を積み重ね、芝の日本新記録となる8つ目のG1タイトルを獲得。そして引退レースとなる2020年のジャパンカップでは、コントレイルとデアリングタクトという、同年の3冠馬と牝馬3冠馬との対決が実現。
この3頭の3冠馬による夢の対決を先輩の意地で制し、9冠を獲得してアーモンドアイはターフを去った。
現役時代にこれだけの活躍を見せると、母としての期待ももちろん高まるところ。ちなみに初仔は先述したエピファネイアとの仔だ。父はジャパンカップ1勝、母はジャパンカップ2勝。両親ともにジャパンカップを勝っているという、まさにジャパンカップを勝つために生まれてきたような血統である。これからアーモンドアイの子どもたちがどんな走りを見せてくれるのか、楽しみに待ちたい。