⑨2006年(勝ち馬ダイワメジャー)
ハットトリックの豪脚炸裂から1年が経った、2006年のマイルチャンピオンシップ。この年の主役は、前年ハナ差の2着に泣いたダイワメジャーであった。
ダイワメジャーは前年のマイルチャンピオンシップ2着後、年が明けたマイラーズCで3つ目の重賞タイトルを獲得。さらに秋に入ると、毎日王冠と天皇賞(秋)を連勝していた。マイルチャンピオンシップでは、単勝2.3倍という堂々の1番人気の支持を得ていた。
続く2番人気は、G1を2勝しているイギリス馬コートマスターピース。そして3番人気は、マイルG1のタイトルを2つ持っている牝馬のダンスインザムード。この3頭までが単勝10倍を切る人気に推され、発走を迎えた。
レースは、ステキシンスケクンがハナを切り、ダイワメジャーが単独2番手で追いかける形。ダンスインザムードは中団後方寄りから進め、コートマスターピースは後方集団に構える展開となった。
ただ、そこまで速い流れではなかったぶん、後方のコートマスターピースでも先頭から10馬身ほどという、比較的一団の馬群。3〜4角の中間ではその馬群がさらに凝縮した形となり、前はダイワメジャーが持ったままで先頭に並びかけて4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、各馬横に大きく広がっての追い比べ。その中でも馬場の真ん中でダイワメジャーが先頭に立っていたが、内外から後続各馬も追い上げてきての激戦ムード。その中でも脚いろが目立ったのは、外を選択したダンスインザムード。
残り100mを切ったあたりからは粘るダイワメジャーと追い上げるダンスインザムードの2頭に絞られる。安藤勝己と武豊、名手2人による叩き合いは、最後まで並ぶことを許さなかったダイワメジャーがクビ差押し切って勝利。3着には、ダンスインザムードを追うようにして外を伸びたシンボリグランが入った。
勝ったダイワメジャーは、天皇賞(秋)に続いてのG1連勝で3つ目のG1タイトルを獲得。前年ハナ差で敗れた悔しさを晴らす勝利にもなった。
ダイワメジャーはその後、翌年の安田記念とマイルチャンピオンシップも勝利。史上5頭目となるマイルチャンピオンシップ連覇を達成し、結果論になるが、史上初のマイルチャンピオンシップ3連覇をハナ差で逃した馬となった。
マイルG1を3勝しながら、有馬記念でも2年連続で3着に好走。妹のダイワスカーレット同様にスピードとスタミナ、先行力を兼ね備えた名馬であった。