⑧2005年(勝ち馬ハットトリック)
デュランダルが連覇を達成した翌年となる、2005年のマイルチャンピオンシップ。この年の注目は、史上初となるマイルチャンピオンシップ3連覇を目指して出走したデュランダル。前年のマイルチャンピオンシップ以来、勝ち星からは遠ざかっていたが、これは連覇を達成した前年と同じ状況であった。
蹄葉炎により約10ヶ月ぶりとなったスプリンターズSでもサイレントウィットネスの2着に好走しており、6歳となっても能力に大きな衰えは感じられなかった。
2番人気は、3歳牝馬のラインクラフト。桜花賞とNHKマイルCを制しており、世代随一のスピードを持っていた。古馬との初対戦に加え、秋は二千でエアメサイアに連敗していたが、G1を2勝しているマイルに戻って能力全開と見られていた。
この2頭が単勝1.5倍と6.9倍の支持を集め、3番人気以降は単勝10倍以上のオッズとなって発走を迎えた。
レースは、ローエングリンがハナを切り、ダイワメジャーが2番手でぴったりとマークする展開。ラインクラフトは中団をポツンと追走し、デュランダルは定位置ともいえる後方集団から進めていた。流れはほぼ平均かやや遅めのペースで進み、4角を回って最後の直線へと向かう。
直線に入ると、ローエングリンは早々と後退。2番手からダイワメジャーが先頭へと立ち、内からバランスオブゲーム、外からダンスインザムードが伸びてきて3頭による争い。その外からラインクラフトも前の争いに加わろうとするが、さらに大外から1頭違う脚で伸びてきたのがハットトリック。
内外の追撃を退けて粘り込みを図ったダイワメジャーを、ゴール寸前で離れた外から交わしてみせた。ダイワメジャーは惜しくもハナ差の2着。ハットトリックと連れるように伸びたラインクラフトが1馬身差の3着となり、3連覇を目指したデュランダルは、上がり最速の脚を使うも8着に敗れた。
勝ったハットトリックは、天皇賞(秋)7着から、見事に巻き返しての勝利。7戦5勝と得意のマイル戦で、G1初制覇を飾った。
ハットトリックはその後、続く香港マイルを制して海外G1制覇も達成した。また、今や数多くの活躍馬を輩出しているキャロットファームに、初の重賞タイトルをもたらした馬としても知られている。