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Durandal
第20回マイルCSを制したときのデュランダル

⑦2003年(勝ち馬デュランダル)

 アグネスデジタルの勝利から3年が経った、2003年のマイルチャンピオンシップ。この年もまた、単勝1番人気が4倍台という混戦模様のメンバー構成であった。

 1番人気は、5歳牡馬のサイドワインダー。ちょうど1年前の京阪杯を、格上挑戦で勝利して重賞初制覇。年が明けた京都金杯も勝利して、重賞連勝を飾った。その後は怪我によって10ヶ月近い休養を余儀なくされながらも、復帰戦の富士Sで2着に好走。その結果、G1初挑戦ながら1番人気に支持されていた。

 2番人気は、4歳牝馬のファインモーション。約1年前のエリザベス女王杯までは、デビューから無傷の6連勝。その後は、気性面の課題が次第に全面に出てきたこともあり、有馬記念から3連敗を喫していた。その気性面を考慮して、今回は初のマイル戦。距離短縮での完全復活を図っていた。

 3番人気は、5歳牡馬のミレニアムバイオ。前年の安田記念で3着に入った実績があり、前述した富士Sでもサイドワインダーを下して勝利を挙げていた。マイルG1で実績のある馬が出走していない今回は、大きなチャンスと見られていた。

 その他、前走で毎日王冠を制しているバランスオブゲームや、前走でスプリンターズSを制しているデュランダルも上位人気に推され、発走を迎えた。

 レースは、ギャラントアローがハナを切る展開。マグナーテンが2番手につけ、サイドワインダーは好位のインコースを確保した。ファインモーションとミレニアムバイオは、中団のほぼ同じような位置から進める形となった。その間に、前はギャラントアローとマグナーテンが2頭で後続を5馬身以上引き離す形となる。その態勢のまま4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入っても、前の2頭の脚いろは衰えず、3番手以下はなかなか差を詰めることができない。2番手のマグナーテンにも差を詰めさせなかったギャラントアローの逃げ切りかと思われたが、そこに襲いかかったのが馬場の外へと持ち出したファインモーションとデュランダル

 その中でも脚いろが目立ったのは、後方待機から大外を伸びたデュランダル。残り50mあたりで逃げるギャラントアローを捕らえ、先頭でゴールを駆け抜けた。連れて伸びたファインモーションが2着に入り、懸命に逃げ込みを図ったギャラントアローが3着となった。

 勝ったデュランダルは、前走のスプリンターズSに続き、G1を連勝。3歳で挑戦した昨年10着のリベンジも果たす形となった。

 その後、翌年の高松宮記念とスプリンターズSでは惜しくも2着となるも、マイルチャンピオンシップを制して、史上4頭目の連覇を達成。もう不可能だと思われる位置取りからでも間に合わせる爆発的な末脚は、ファンの心を一瞬で鷲掴みにした。

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