②1988年(勝ち馬サッカーボーイ)
ニホンピロウイナーの連覇達成から3年が経った、1988年のマイルチャンピオンシップ。
この年の1番人気は、4歳(現3歳)馬のサッカーボーイ。サッカーボーイは3歳(現2歳)時に出走したもみじSで10馬身差の圧勝。続く阪神3歳Sも8馬身差で勝利し、「テンポイントの再来」と称されていた。しかし、4歳初戦の弥生賞から3連敗。特にダービーで1番人気に支持されながら15着に大敗したことから、陣営は二千以下のレースを中心にローテーションを組み直す。
中スポ杯4歳Sで皐月賞馬ヤエノムテキを下して勝利すると、古馬との初対戦となった函館記念でも、メリーナイスやシリウスシンボリといった歴代のダービー馬を一蹴して5馬身差の圧勝。勝ち時計の1分57秒8は、日本レコードというオマケつきであった。その後は捻挫によって少し間隔があき、マイルチャンピオンシップへの出走となった。
過去4回はいずれも古馬勢が勝利していたマイルチャンピオンシップだが、函館記念の圧巻のパフォーマンスがサッカーボーイの評価をさらに高め、単勝2.6倍の1番人気に推されて発走を迎えた。
レースは、ヒシノリフオーがハナを切り、ミスターボーイが2番手を追走する展開。サッカーボーイは中団後方寄りから進める形となる。前は3〜4角の中間あたりで早くもヒシノリフオーが後退気味。2番手からミスターボーイが先頭へと代わる。サッカーボーイも外を回って好位の後ろまで浮上して、4角を回って最後の直線へと向かう。
直線に入ると、ミスターボーイが後続を3馬身ほど引き離して先頭。好位から2番手に上がったヒデリュウオーがそれを追いかけ、サッカーボーイもその外から前の2頭との差を詰める。その争いから一気に突き抜けたのはサッカーボーイ。残り150mあたりで先頭に立つと、あとは後続を引き離す一方であった。
最後は、4馬身の差をつけての快勝となった。混戦となった2着争いは、道中後方集団で進めていたホクトヘリオスがゴール前で2着を取りきり、早め先頭のミスターボーイがクビ差の3着へと粘りこんだ。
勝ったサッカーボーイは、阪神3歳S以来となる2つ目のG1タイトルを奪取。鞍上の河内騎手はニホンピロウイナーの連覇に続き、マイルチャンピオンシップ3勝目となった。
サッカーボーイはその後、次走の有馬記念を最後に、脚部不安によって現役生活を引退。競走馬として活躍した期間は短かったが、中スポ杯4歳S以外の5勝はすべて4馬身差以上の圧勝。多少の脆さはあっても、勝つときは圧倒的な力を見せつける、そんな馬であった。