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Equinox
第26回東スポ杯2歳Sを制したときのイクイノックス

⑤2021年(勝ち馬イクイノックス)

 3冠馬コントレイルの勝利から2年が経った、2021年の東京スポーツ杯2歳ステークス。前年まではG3格付けであったが、この年からG2へと格上げになっていた。

 この年の1番人気はイクイノックス。夏の新潟千八の新馬戦を勝ったばかりであったが、そのレース内容が圧巻。好位追走から楽に抜け出す横綱相撲で、2着馬につけた着差は6馬身。

 キタサンブラック産駒の評価がまだ定まっていない中で単勝2番人気に甘んじていたが、視覚的なインパクトのかなりあるデビュー戦であった。

 2番人気はレッドベルアーム。同じく1戦1勝で、こちらは阪神千八の新馬戦を勝利。半馬身差の勝利で決して派手な勝ち方ではなかったが、デイリー杯2歳Sを勝利しているレッドベルオーブを半兄に持ち、早期からの活躍が期待できる血統馬であった。

 そして3番人気はアルナシーム。この馬は函館千八の新馬戦を勝っていたが、その新馬戦はスタートで出遅れた上に道中引っかかるという厳しい展開。それでも最後は、後続に2馬身の差をつける差し切り勝ち。まさに能力の高さだけで勝ったという印象で、若さを見せずにレースできるかがカギであった。

 さらには、初戦がジオグリフの2着、2戦目がアスクビクターモアの2着と、後のクラシックホース2頭に敗れて、3戦目での未勝利脱出となったアサヒが4番人気で続き、この4頭が単勝10倍を切る人気に推されて発走を迎えた。

 レースは、ナバロンがハナを切り、デリカテスが2番手につける展開。レッドベルアームは好位を追走し、その直後にアサヒ。イクイノックスは中団後方寄りのインコースに位置を取り、今回も出負けしたアルナシームは最後方からとなった。

 レースが動いたのは3角手前。ゆるい流れに我慢できなくなったアルナシームが抑え切れない感じで上がっていき、3〜4角の中間あたりでは先頭のナバロンに並びかける。そのまま2頭で後続を引き離し、ナバロンを交わしたアルナシームが先頭に立ち、4角を回って最後の直線へと向かう。

 直線に入ってもアルナシームが3〜4馬身のリードを作っていたが、後続各馬が横に広がって追い上げてくる。残り200mでアルナシームを捕らえたのは、内を伸びたテンダンスと、外を伸びたアサヒとイクイノックス

 この3頭の争いから、残り100mで抜け出したのはイクイノックス。最後は2馬身半の差をつけての完勝となった。2着にはアサヒが入り、3着にテンダンスが続いた。

 勝ったイクイノックスは、デビューから2戦2勝で重賞初制覇。その後の活躍はここに書くまでもないが、3歳時の天皇賞(秋)からG1を6連勝。さまざまな記録を打ち立て、世界ランク1位のまま現役を引退した。今後は種牡馬として、自身を超える活躍馬の輩出に期待がかかる。

 レース数の増えてきた2歳重賞の中でも、出世レースの代名詞的な存在となっている東京スポーツ杯2歳ステークス

 今回取り上げられなかった勝ち馬の中にも、クラシックホースが数多く存在している。
今年はどんな馬がこのレースから大きく羽ばたいていくのか、楽しみにしながら見ていきたい。

(文●中西友馬)

【了】

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