HOME » コラム » 5選 » ベガはベガでも“ホクトベガ”やメジロラモーヌの“完全三冠”など【エリザベス女王杯 名勝負5選①】 » ページ 3
Hokuto Vega
第18回エリザベス女王杯を制したときのホクトベガ(写真左)

③1993年(勝ち馬ホクトベガ)

 大波乱となったサンドピアリスの勝利から4年が経った、1993年のエリザベス女王杯。この年は、戦前から3強対決と目されていた。

 1番人気はスターバレリーナ。デビューこそ4歳(現3歳)4月と遅かったが、古馬相手に500万下(現1勝クラス)、900万下(現2勝クラス)と連勝。勢いそのままに、トライアルのローズSも3馬身差の快勝。一躍秋の主役に名乗りを挙げていた。

 2番人気は春の2冠馬ベガ。春2冠という実績を考えれば、2番人気に甘んじていることも不思議ではあるが、調整の遅れによりローズSを回避。オークス以来、約半年ぶりのぶっつけ本番である点が懸念され、少し人気を落としていた。

 3番人気はユキノビジン。公営の盛岡出身で、中央初戦となったクロッカスSではブービー人気に反して3馬身差の快勝。その後、桜花賞とオークスではともにベガの2着。東のトライアルであるクイーンSを勝利して、ここに臨んでいた。この3頭が単勝3〜4倍台の支持を集め、4番人気以降は10倍を超えるオッズとなり、発走を迎えた。

 レースは、ケイウーマンがハナを切り、後続を少し引き離す展開。ユキノビジンとスターバレリーナは並ぶようにして好位を追走し、ベガは中団の外めでじっくりと脚をためていた。前半1000mの通過は58秒2と明らかなハイペース。4角手前ではケイウーマンのリードは一気に詰まり、馬群が凝縮して4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入るとケイウーマンは失速。代わってユキノビジンやスターバレリーナあたりの争いになるかと思われたが、ハイペースを追走したぶん伸びを欠く。ベガも馬群をさばいて伸びてくるが、それ以上に伸びが目立ったのはノースフライト。

 残り200mを切って先頭に立つも、残り100mでそれを最内から差し切ったのがホクトベガ。最後はノースフライトに1馬身半の差をつけての快勝。ノースフライトから2馬身離れた3着に、牝馬3冠を狙ったベガが入った。

 勝ったホクトベガは、春は桜花賞で5着、オークスでは6着に敗れていたが、最後の1冠を獲得して嬉しいG1初制覇。実況していた関西テレビアナウンサーの「ベガはベガでもホクトベガです!」というフレーズも有名である。

 ホクトベガはその後、7歳(現6歳)時からはダートに軸足を置いた活躍を見せ、ダートに限れば交流重賞を含む9連勝を飾る。10連勝を目指したドバイWCでの故障により天国へと旅立ってしまったが、悲劇から30年近く経った今でも、非常にファンの多い「砂の女王」である。

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