②2016年(勝ち馬マルターズアポジー)
ダイワファルコンの連覇達成から3年が経った、2016年の福島記念。この年は3歳勢の3頭が人気を集めていた。
1番人気はゼーヴィント。ラジオNIKKEI賞を勝ち、セントライト記念でもディーマジェスティの2着に好走。菊花賞の優先出走権も確保しており、仮に菊花賞に出走しても上位人気が予想された。そんな中でも距離適性を優先し、福島記念で古馬との初対戦を選択していた。
2番人気はマイネルハニー。こちらはスプリングSで2着の実績があり、ダービーにも出走。こちらは前走のアイルランドTですでに古馬と対戦しており、2着に好走。重賞勝利がないぶん、ゼーヴィントより1キロ軽い54キロでの出走となった。
3番人気は牝馬のダイワドレッサー。オークスと秋華賞に出走しており、フェアリーSとラジオNIKKEI賞で2着となっていた。ラジオNIKKEI賞ではゼーヴィントに敗れてはいたが、当時1キロ差だった斤量差が3キロ差に広がっており、逆転も考えられるという人気であった。この3頭までが単勝10倍を切る人気に推され、発走を迎えた。
レースは、マイネルハニーも前をうかがうが、内枠を利してマルターズアポジーがハナを切る。マイネルハニーは2番手に控え、ダイワドレッサーとゼーヴィントは、並ぶようにして中団から進めていた。前半1000mの通過は61秒0。早めに隊列が決まったこともあり、かなりゆったりとしたペースで流れていた。
勝負どころの3〜4角中間でも、逃げるマルターズアポジーの手ごたえは十分。逆に2番手のマイネルハニーのほうが手ごたえは劣勢となった。ダイワドレッサーは内でじっくり前が開くのを待っており、ゼーヴィントはその後ろの好位グループまで押し上げて、4角を回って最後の直線へと向かう。
直線に入ると、手ごたえ通りにマイネルハニーを突き放したマルターズアポジーが、後続との差を4馬身ほどに広げる。残り100mでマイネルハニーを交わして2番手に浮上したゼーヴィントが猛追するも、すでにセーフティーリードを作り上げていたマルターズアポジーが逃げ切り勝ち。
最後は1馬身半差まで詰めたゼーヴィントが2着に入り、最後は外に持ち出して伸びてきたダイワドレッサーが3着を確保した。
勝ったマルターズアポジーは、1000万下(現2勝クラス)、1600万下(現3勝クラス)に続いて3連勝で重賞初制覇。続く有馬記念では積極果敢な大逃げを打ち、会場を沸かせた。
翌年には、ともに逃げ切り勝ちで重賞タイトルを2つ上積みし、現役引退までに重賞3勝を挙げた。武士沢騎手とのコンビも非常に印象的で、ファンからも愛された馬であった。