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Tamamo Planet
第20回京都ジャンプSを制したときのタマモプラネット

④2018年(勝ち馬タマモプラネット)

 障害レースは、馬群が縦長になりやすいことと、多くの場合は最後の直線にも障害があるため、後方一気の追い込み勝利というのは平地レースと比べて難しい。そんな障害レースの性質を味方につけ、大逃げ戦法というレーススタイルを貫いていたのが、2018年の勝ち馬タマモプラネットであった。

 タマモプラネットは重賞勝利こそなかったものの、この時点でOP3勝の実績馬。そしてそのどれもが、大逃げで作ったアドバンテージを生かしての逃げ切り勝ちであった。

 京都ジャンプステークスには3年連続の出走であったが、過去2年は大逃げを打つも逃げ切れずに敗れていた。特に前年に関しては、セーフティーリードかと思われたところから、まさかの大逆転を許してのアタマ差惜敗。3度目の正直を目指しての出走であった。

 しかし、直前の東京HJに出走した際、先頭で迎えた最終障害の着地でバランスを崩して落馬。タマモプラネット自身には異常がなかったが、入障戦から18戦全てで手綱を執ってきた小坂騎手が、骨折の診断で戦線離脱。京都ジャンプステークスへは、初騎乗となる熊沢騎手とのコンビで向かうこととなった。

 レースは、戦前の予想通りにタマモプラネットの大逃げ展開。テン乗りの熊沢騎手とのタッグでも戦法は変えず、いつも通り快調にラップを刻んでいく。道中10馬身以上の差を広げたリードは少しずつ詰まってきており、追い上げてきたミヤジタイガとの差は5馬身ほどで4角を回り、最後の直線コースへと向かう。

 直線では、逃げるタマモプラネットと追い上げるミヤジタイガとの争いに絞られ、ミヤジタイガがジリジリと差を詰めてくる。タマモプラネットとしては前年の悪夢がよぎる展開となったが、最後まで先頭の座を守り切ったタマモプラネットが勝利。最後まで懸命に追ったミヤジタイガは3馬身差の2着となった。

 勝ったタマモプラネットは次走の牛若丸JSで、復帰した小坂騎手とのコンビ復活を果たす。いつも通りの大逃げを見せると、後続に3.2秒もの差をつける大差勝ちを収めた。ちなみに、タマモプラネットは牛若丸JSに3度出走して負けなしの3勝。非常に好相性を誇るレースであった。

 重賞勝利は京都ジャンプステークスのみだったが、常に大逃げで私たちをワクワクさせてくれた個性派。その逃げっぷりはファンの記憶に強く刻み込まれている。

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