③2013年(勝ち馬ベルシャザール)
クロフネの衝撃から12年が経った、2013年の武蔵野ステークス。この年の主役は、2011年のダービーでオルフェーヴルの3着という実績を持つ、ベルシャザールであった。
ベルシャザールは、デビューから10戦は芝のレースに出走していた。3戦目には当時OP特別だったホープフルSを勝利して、オルフェーヴルが3冠を達成したクラシックも皆勤。特に2冠目のダービーでは、8番人気ながらオルフェーヴル、ウインバリアシオンに注ぐ3着に健闘した。
しかし、4歳初戦のダービー卿CT出走後に骨折が判明。1年以上の休養を余儀なくされた。そして復帰後は脚元の問題もあり、ダート戦を使うようになる。すると復帰2戦目の白川郷Sで、ホープフルS以来2年半ぶりの勝利を挙げてOP入り。前走のブラジルCでOP勝ちも果たし、武蔵野ステークスに出走していた。
同じく芝での実績があるゴールスキーや、プロキオンSを制したアドマイヤロイヤル、前年の武蔵野S覇者イジゲンなどと人気を分け合ったが、僅差ながらベルシャザールが1番人気に推され、発走を迎えた。
レースは、グラッツィアとティアップワイルドが並ぶようにして引っ張る展開。ベルシャザールとイジゲンは好位から進め、中団にポツンとアドマイヤロイヤル。ゴールスキーは後方集団で脚を溜めていた。速めの流れで進んでいるわりに馬群は一団で4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線では馬群が密集した大激戦となるが、その馬群の外からアドマイヤロイヤルが抜け出しを図る。さらにその外からゴールスキーも脚を伸ばしてきていた。残り200m辺りでアドマイヤロイヤルが先頭に立ったかに見えたが、その内から馬群をこじ開けて伸びてきたのがベルシャザール。アドマイヤロイヤルを交わして先頭に立つと、後続の追い上げも許さず勝利。
2着にはアドマイヤロイヤルが続き、こちらも馬群の中から伸びたベストウォーリアが、3着で続いた。
勝ったベルシャザールは、勢いそのままに続くJCダートで、断然人気のホッコータルマエらを撃破してG1初制覇を達成。怪我をきっかけに挑戦したダートで、G1まで勝ってみせたベルシャザール。これぞまさに、怪我の功名といえる活躍であった。