HOME » コラム » 5選 » フジノウェーブなど地方勢も躍動!日本で唯一のダート短距離王決定戦【JBCスプリント 名勝負5選】 » ページ 5
Sabuno Junior
第20回JBCスプリント制したときのサブノジュニア

⑤2020年(勝ち馬サブノジュニア)

 フジノウェーブが地方勢初勝利を挙げた後も勢力図は変わらず、翌年からJRA勢が再び連勝。その連勝を11で止めたのは、2019年の浦和JBCスプリントを制したブルドッグボスであった。ただ、この馬は5歳春までJRAに在籍しており、JRA時代からOP特別で3勝を挙げる実績馬であった。

 その翌年となる、2020年の大井JBCスプリント。フジノウェーブ以来となる、地方生え抜きのJBCスプリント覇者が誕生。それがサブノジュニアであった。

 しかしこの年も、下馬評ではJRA勢優勢と見られていた。単勝3.8倍の1番人気は、前哨戦の東京盃を勝利した4歳馬ジャスティン。前年2着、東京盃3着のコパノキッキングが3.9倍と僅差の2番人気に推されており、鞍上の藤田菜七子騎手は、女性騎手として初のG1級制覇がかかっていた。

 そして4.9倍の3番人気には、前年覇者で東京盃2着のブルドッグボスが地方勢代表として続いている形であった。

 レースは、スタート後に躓いたブルドッグボスが、致命的な出遅れで最後方からの競馬となる。前はモズスーパーフレアがハナを切り、ジャスティンは中団馬群からの競馬。

 コパノキッキングはその直後、中団後方寄りを追走する形となる。前半600mの通過は33秒4と、芝のレース並みの速い流れでレースは進み、4角を回って最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、逃げるモズスーパーフレアを好位から伸びるマテラスカイが捕まえに行く。ジャスティンは馬群の中で苦しい競馬となり、外に出したコパノキッキングも伸びを欠いていた。

 モズスーパーフレアとマテラスカイの一騎打ちかと思われたが、残り100mを切ったところでその2頭をまとめて交わしたのがサブノジュニア。中団追走から一気の差し切り勝ちを決めた。2着にはモズスーパーフレアを競り落としたマテラスカイが入り、4角14番手からの猛追を見せたブルドッグボスが、3着となった。

 勝ったサブノジュニアは、史上3頭目となる地方所属馬によるJBCスプリント制覇を達成。地方生え抜きとしては、フジノウェーブ以来史上2頭目となった。また2015年のコーリンベリーに続き、父サウスヴィグラスとの父仔制覇も達成した。

 このように、JBCクラシックと比べると、地方所属馬の活躍が顕著なJBCスプリント。特に近年は、ほぼ互角ともいえる戦いを見せている。

 ダートの短距離戦としては国内唯一のG1であり、ダートのスピード自慢が一堂に会する注目のレース。今後はどんな馬たちがこのレースの歴史に名を刻んでいくのか、楽しみにしながらレースを見ていきたい。

【了】

(文●中西友馬)

1 2 3 4 5 6