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South Vigorous
第3回JBCスプリント制したときのサウスヴィグラス(写真左)

②2003年(勝ち馬サウスヴィグラス)

 ノボジャックの勝利から2年が経った2003年のJBCスプリント。この年も第1回と同じく大井で行われたが、スタンド改修工事に伴い、2年前より10m短い1190mで行われた。そして、この10mが勝敗を分ける大きなカギとなった。

 この年の1番人気は、前年の2002年にJRA所属から大井所属となった7歳馬のハタノアドニス。同舞台で行われた前哨戦である東京盃を4馬身差の圧勝。地方勢初のJBCスプリント制覇に向けて、視界は良好であった。

 2番人気は4歳馬のマイネルセレクト。ダートでは9戦して全て3着以内と底を見せておらず、直前のシリウスSでは重賞初制覇。まさに充実一途といった感じで、勢いは一番であった。

 3番人気は7歳馬のサウスヴィグラス。前年は春から夏にかけて重賞4連勝を飾るも、骨折が判明してJBCスプリントには出走できず。重賞7勝の実績は一番で、引退レースとなる今年にかける気持ちは強かった。

 レースは、好スタートを決めたサウスヴィグラスが先頭に立とうとするが、その内からナイキアディライトもハナを主張。2頭並走の形でレースは進む。ハタノアドニスとマイネルセレクトは、その2頭の直後で前をうかがっていた。その隊列のまま、4角を回って最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、ナイキアディライトを競り落としたサウスヴィグラスが先頭へと立つ。その外からハタノアドニスが伸びてきて、さらにその外からはマイネルセレクトとスターリングローズが併せ馬の形で追い込んでくる。

 ハタノアドニスを振り切ったサウスヴィグラスが逃げ粘るところに、外から急追するマイネルセレクト。この2頭に絞られたゴール前の争いは、ハナ差で凌ぎ切ったサウスヴィグラスに軍配が上がった。マイネルセレクトから1馬身半差の3着には、スターリングローズが入った。

 勝ったサウスヴィグラスは、引退レースでG1級初制覇。昨年の無念を晴らす走りを見せ、自ら引退の花道を飾った。そんなに単純な話ではないだろうが、ゴール前のマイネルセレクトの勢いから、あと10mあったら確実に入れ替わっていたハナ差。競馬の神様が味方したといえる勝利であった。

 現役生活引退後は種牡馬として、自身の得意としていたダート短距離で活躍馬を多数輩出。JBCスプリントに関しても、2015年の勝ち馬コーリンベリー、2020年の勝ち馬サブノジュニアと、2頭の産駒が父仔制覇を果たしている。

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