武豊の4連覇やJRA勢20連覇阻止など! ドラマ生むダートの祭典【JBCクラシック名勝負 5選】
アメリカのブリーダーズカップに着想を得て、2001年に創設されたJBC競走。その中でも、メインレースとして行われるのがJBCクラシックである。JBCクラシックは地方競馬場で持ち回りでの開催のため、距離設定は競馬場によって異なるが、基本的には本家BCクラシックと同じ2000mが基準とされている。このダート中距離の最強馬決定戦であるJBCクラシックの歴史の中から、5つのレースをピックアップして紹介する。
①2002年(勝ち馬アドマイヤドン)
最初に取り上げるのは、第2回開催となった2002年のJBCクラシック。この年の舞台は盛岡競馬場であった。この地でダート界のドンがベールを脱いだのである。
この年の1番人気は、5歳牝馬のプリエミネンス。まだJBCレディスクラシック創設前だったこともあり、当時は牝馬の出走も珍しくなかった。プリエミネンスは、交流重賞を含めるとすでに重賞7勝。さらに、マーキュリーC、エルムSと重賞連勝中で勢いも十分であった。牡馬相手でも、待望のG1級初制覇への期待が高まっていた。
対する2番人気は、3歳牡馬のアドマイヤドン。こちらは朝日杯FSを勝っている、芝のG1馬であった。クラシックでは、皐月賞7着、ダービー6着、菊花賞4着と、あとひと押しが足りなかったため、新馬戦で8馬身差と圧勝したダートへ矛先が向いていた。
3番人気は、同年の帝王賞馬カネツフルーヴ。初の交流競走でいきなりG1級制覇のパフォーマンスは、さすが名牝ロジータの仔と賞賛された。そして秋の始動戦に、G1級連勝のかかるJBCクラシックを選択していた。
レースは、キングリファールがハナを切り、カネツフルーヴは先行勢のインを確保。アドマイヤドンとプリエミネンスは並ぶような形で、好位の後ろから戦況を眺めていた。レースが動いたのは、向正面から3角にかけてと早かった。
逃げるキングリファールが失速し、早くもカネツフルーヴが先頭へと立つ。そこに抜群の手ごたえでついてきたのがアドマイヤドン。その後ろからはプリエミネンスも上がってきて、人気上位3頭が前を形成した状態で4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、前はカネツフルーヴとアドマイヤドンの一騎打ち。しかし残り200mで外からアドマイヤドンが前に出ると、あとは後続をグングンと突き放す。そのまま7馬身の差をつけて、アドマイヤドンの圧勝に終わった。ゴール前でカネツフルーヴを交わしたプリエミネンスが2着に入り、最後苦しくなったカネツフルーヴは3着となった。
勝ったアドマイヤドンは、新馬戦以来となる久々のダート戦で、再びの圧勝劇。ここからダート界を席巻し、ダート戦だけでG1級6勝を挙げた。芝の朝日杯FSを合わせると、G1級7勝という活躍を見せた。特にJBCクラシックでは無類の強さを発揮し、この年から3連覇を達成した。