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秋のダート王への登竜門!トランセンドやエスポワールシチーなど【みやこS 名勝負5選】

text by 中西友馬

チャンピオンズカップ(旧ジャパンカップダート)の前哨戦として、2010年に新設されたみやこステークス。かつてオープン特別トパーズステークスとして開催されていたものを引き継いだもので、京都競馬場のダート1800mコースが舞台とされている。ダート王を目指す実力馬がたちが集い、毎年名勝負が繰り広げられる。今回はそんなみやこステークスの歴史を振り返り、特に注目すべき5つのレースを紹介する。

Transcend
第1回みやこSを制したときのトランセンド

①2010年(勝ち馬トランセンド)

 最初に取り上げるのは、記念すべき第1回みやこステークスが行われた2010年。この年は、2頭が人気を分け合う構図となっていた。

 1番人気は単勝2.9倍のキングスエンブレム。4歳春にダート転向を果たしてから、長期休養を挟みながら5戦3勝。前走のシリウスSはダート重賞初挑戦にも関わらず、単勝1番人気に応えて勝利しており、重賞連勝を目指してここに出走していた。

 単勝3.1倍と僅差の2番人気で続いたのがトランセンド。こちらは、3歳時にレパードS勝ちの実績があり、日本テレビ盃2着からの転戦。その日本テレビ盃の3着馬と1着馬が、その後JBCクラシックでワンツーを決めており、おのずとこの馬もG1級の能力を秘めていることが証明されていた。

 レースは、ほかにも行く構えを見せた馬もいたが、内枠を利してトランセンドがハナを切る。キングスエンブレムは中団後ろのインコースで脚をためる展開となった。前半1000mの通過は60秒6と淀みのない流れで進み、4角を回って最後の直線へと向かう。

 直線に入るとトランセンドが逃げ脚を伸ばし、2番手以下を徐々に引き離しにかかる。そこに追い込んできたのがキングスエンブレム。中団から馬群の外へと持ち出すと、ただ1頭トランセンドを追いかける。

 残り100m、2番手に上がると1完歩ずつに差を詰めるが、トランセンドの脚いろも衰えず、そのまま逃げ切って勝利。最後までジリジリと追い上げたが、キングスエンブレムは2着となった。

 勝ったトランセンドはその後、直後のJCダートでG1初制覇。翌年のフェブラリーSでフリオーソに日本テレビ盃のリベンジを果たすと、ドバイWCではヴィクトワールピサとの日本馬ワンツーを達成。世界の舞台で、日本に勇気を与えるレースを見せてくれた。

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