HOME » コラム » 5選 » シュヴァルグランやスクリーンヒーローなど! 才能開花の伝統重賞【アルゼンチン共和国杯名勝負5選】 » ページ 5
Suave Richard
第55回アルゼンチン共和国杯を制したときのスワーヴリチャード

⑤2017年(勝ち馬スワーヴリチャード)

 シュヴァルグランが勝利した翌年となる、2017年のアルゼンチン共和国杯。この年の主役は3歳馬、ダービー2着のスワーヴリチャードであった。

 スワーヴリチャードは、3歳初戦の共同通信杯で重賞初制覇。しかし、皐月賞では2番人気に推されるも、アルアインの6着に敗れた。続くダービーでは、スローペースを早めに抜け出したレイデオロを捕え切れずに2着に敗れた。

 悲願のG1制覇に向け、秋の始動戦に初の古馬との対戦となるアルゼンチン共和国杯を選択。単勝2.0倍の1番人気に推され、発走を迎えた。

 レースは、マイネルサージュがハナを切る展開。Mデムーロ騎手との初コ
ンビとなったスワーヴリチャードは、中団前めのインコースに位置を取った。マイネルサージュの引っ張るペースは淀みなく、比較的縦長の馬群のまま4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ってもマイネルサージュが先頭をキープしていたが、インコースで前が開くのを待っていたスワーヴリチャードが抜群の手ごたえ。残り300m辺りで、逃げるマイネルサージュと2番手のカレンミロティックの間にスペースを見つけると、一瞬にして突き抜けて先頭に立つ。

 そのまま後続を突き放し、混戦となる2番手争いを尻目に2馬身半差の快勝。2着はしぶとく伸びたソールインパクト、3着には勝ち馬と同じ3歳馬のセダブリランテスが入った。

 勝ったスワーヴリチャードはその後、4歳時の大阪杯で待望のG1初制覇。さらには5歳時のジャパンカップも勝利し、G1タイトルを2つ獲得した。現役引退後は種牡馬となり、初年度産駒のレガレイラがいきなりG1ホープフルSを制覇した。産駒の今後の活躍が期待される。

 非根幹距離で行われるハンデ戦のせいか、ここを勝った馬の評価があまり高くない印象のあるレースだが、実は後のG1馬を数多く輩出している出世レースである。

 また、軽ハンデを生かした格上挑戦の馬や、条件戦を勝ったばかりの馬の活躍も大いに目立ち、レース単体としても予想のしがいがある面白い重賞だといえる。

 今後はどんな馬がここをステップにさらに上の舞台で活躍していくのか、楽しみにしながら見ていきたい。

(文●中西友馬)

1 2 3 4 5 6