HOME » コラム » 5選 » “芦毛対決”“降着”etc……数々のドラマを生む中距離王決定戦をプレイバック【天皇賞秋 名勝負①】 » ページ 4
Air Groove
第116回天皇賞(秋)を制したときのエアグルーヴ

④1997年(勝ち馬エアグルーヴ)

 4歳(現3歳)馬バブルガムフェローが歴史の扉を開いた翌年となる、1997年の天皇賞(秋)。今度は牝馬のエアグルーヴが、天皇賞の歴史を変えた。

 この年の戦前の主役は、前年覇者バブルガムフェロー。前年の天皇賞(秋)以後も、59キロを背負ってG2を2勝。宝塚記念でも、マーベラスサンデーとクビ差の2着という実績を残していた。その宝塚記念の上位馬が出走していないここでは、単勝1.5倍の1番人気という圧倒的な支持を集めるのも当然であった。

 そして、そのバブルガムフェローの相手筆頭に挙げられていたのが牝馬のエアグルーヴで、単勝オッズは4.0倍の2番人気。前年のオークス馬であるエアグルーヴは、骨折からの復帰戦となったマーメイドSを勝利。牡馬相手の札幌記念も連勝し、ここに挑んでいた。

 レースは、サイレンススズカがハナを切り、前半1000mは58秒5というハイペースを刻んでいく。バブルガムフェローは前年と同じく好位3番手辺りをキープし、エアグルーヴは中団の前辺りにつけていた。前は向正面でサイレンススズカがリードを10馬身以上に広げ、観客もどよめく中、4角を回って最後の直線へと向かう。

 直線に入ってもサイレンススズカが先頭で粘っていたが、その外に出したバブルガムフェローとエアグルーヴが一気に差を詰めてくる。その2頭が残り150m辺りでサイレンススズカを交わして前に出ると、完全な一騎打ち。

 勢いは明らかに外のエアグルーヴで、半馬身ほど前に出るも、内のバブルガムフェローもそれ以上は離されず、むしろ差し返し気味に伸びる。最後は再びクビ差まで差が詰まるも、エアグルーヴが先んじてゴール線を駆け抜けた。3着のジェニュインは、バブルガムフェローから5馬身も後方に置かれていた。

 一騎打ちを制したエアグルーヴは、2000mとなってからは史上初となる、牝馬による天皇賞(秋)制覇を達成。さらには、同年のJRA年度代表馬にも選出された。牝馬による年度代表馬も26年ぶりの快挙であり、まさに女帝と呼ぶのにふさわしい馬であった。

1 2 3 4 5 6