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Prekrasnie
第104回天皇賞(秋)を制したときのプレクラスニー

②1991年(勝ち馬プレクラスニー)

 タマモクロスが芦毛頂上決戦を制してから3年が経った、1991年の天皇賞(秋)。この年の一番の注目馬も、芦毛のメジロマックイーンであった。

 メジロマックイーンは、前年の菊花賞でG1初制覇。5歳(現4歳)となってからも、天皇賞(春)を勝利して2つ目のG1タイトルを奪取。宝塚記念こそ、同じ冠を持つメジロライアンに敗れて2着となるも、前哨戦の京都大賞典を完勝して、天皇賞(秋)に臨んでいた。

 メジロマックイーンは単勝1.9倍の1番人気。2番人気には、マックイーンと同じ5歳(現4歳)の重賞2勝馬ホワイトストーンが単勝4.8倍で続いていた。ちなみにこの馬も芦毛で、奇しくも3年前と同じく、1.2番人気が芦毛馬となっていた。続く単勝8.7倍の3番人気も、同じく5歳(現4歳)のプレクラスニー。こちらも重賞2勝馬で、条件戦からの3連勝で天皇賞(秋)に挑んできていた。

 レースは、雨の降りしきる不良馬場の中で行われ、序盤は人気3頭が前に出ていく展開。その中からプレクラスニーがハナを切り、その直後にホワイトストーンがつける。メジロマックイーンは、その2頭を見ながら3番手から進めていく。

 前半1000mは61秒1で通過。不良馬場を差し引くと平均やや速めと思われる流れで進み、メジロマックイーンは3番手からジリジリと前との差を詰めて行く。そしてそのまま4角を回り、最後の直線へと向かう。

 前の3頭が後ろを離して直線へと入るが、その中からホワイトストーンが脱落。前の2頭は競り合っていたが、残り300mを切った辺りでメジロマックイーンが前へと出ると、グングンと突き放していく。接戦となる2着争いを尻目に、メジロマックイーンが大きな差をつけて1位入線。後続の争いをなんとか凌いだプレクラスニーが6馬身差の2位入線を果たした。

 しかしその後、スタート直後に内に切れ込んだメジロマックイーンが、他馬の走行を妨害したとして、審議の後に18着に降着。2位入線のプレクラスニーが、繰り上がっての勝利となった。

 勝ったプレクラスニーは、4連勝でG1初挑戦初制覇を達成。鞍上の19歳江田照男騎手も同じく、G1初挑戦初制覇を飾った。JRA史上初となる、G1での1位入線馬の降着となったレースは、こちらも史上初の、10代ジョッキーが天皇賞制覇の偉業を達成したレースでもあった。

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