⑤2021年(勝ち馬サークルオブライフ)
ソダシが勝利した翌年となる、2021年のアルテミスステークス。この年の主役は、怪我に泣かされ志半ばでターフを去った、サークルオブライフであった。
サークルオブライフは、夏の新潟でデビュー。新馬戦は3着に敗れたが、そのレースで6馬身差の圧勝を演じたのは、後にG1を6勝するイクイノックスであった。そして、2戦目となる中山の未勝利戦で勝ち上がって迎えたのが、アルテミスステークス。未勝利戦を勝ったばかりというのもあり、戦前の評価は単勝7番人気に甘んじていた。
上位人気は、新馬戦で4馬身差圧勝のフォラブリューテが1番人気。新馬戦でセリフォスの2着後、未勝利戦を3馬身半差で完勝のベルクレスタが2番人気。サークルオブライフと同じ国枝厩舎所属で、牝馬3冠馬リバティアイランドの姉でもあるロムネヤが、3番人気の支持を受けていた。
レースは、内枠の3頭が前に出ていくも、その中からボンクラージュがハナを切る。ベルクレスタは好位につけ、サークルオブライフは中団のインコース。フォラブリューテは後方集団、ロムネヤは最後方からの競馬となる。前半の800m通過は47秒2と、2歳馬のレースにしては流れている印象であった。ボンクラージュが後続を少し離す形で4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入るとボンクラージュのリードはみるみるなくなり、残り400mを切った辺りで2番手からシゲルイワイザケが先頭へと立つ。さらにその外にベルクレスタが並びかけるが、追い込み勢の中から唯一伸びてきたのが、馬群の外に出したサークルオブライフ。
シゲルイワイザケを競り落としたベルクレスタに1完歩ずつ迫り、きっちりクビ差捕まえたところがゴール。早め先頭のシゲルイワイザケが粘り込む形で3着。フォラブリューテとロムネヤは伸びを欠き、それぞれ5着と8着に敗れた。
勝ったサークルオブライフは、次走の阪神ジュベナイルフィリーズを勝利し、G1初制覇。前年のソダシに続き、2年連続でアルテミスステークス勝ち馬が2歳女王となった。
その後は勝利に恵まれぬまま、3歳の秋華賞前に屈腱炎を発症。約1年間の長期休養ののち、現役引退が発表された。今度は繁殖牝馬として、命の輪は次世代へと受け継がれていくことだろう。
このように、まだ歴史は浅いながらも、後の活躍馬を多数輩出しているアルテミスステークス。年末の阪神ジュベナイルフィリーズはもちろん、その先にある牝馬クラシック戦線に向けても、目の離せない一戦であることは間違いない。
(文●中西友馬)