③2017年(勝ち馬ラッキーライラック)
リスグラシューの勝利から1年が経った2017年のアルテミスステークス。この年の主役ラッキーライラックもまた、ここをステップにして、リスグラシューに勝るとも劣らない名牝への道を歩み出した。
この年の1番人気は、1戦1勝のトーセンブレス。直線の短い中山で、道中最後方からの差し切り勝ちはかなりのインパクト。さらに、2着馬のプリモシーン(のちの重賞3勝馬)がすぐに勝ち上がったことも、この馬の評価を高めていた。
ラッキーライラックは2番人気で、同じく1戦1勝。トーセンブレスほどの視覚的インパクトはなかったが、上がりの速い決着となった新潟の新馬戦を勝利。好位から抜け出す立ち回りには、レースセンスの高さが窺えた。
3番人気は、ラッキーライラックと同じ新潟での勝ち上がりで、驚異の上がり32秒0を繰り出して差し切ったウラヌスチャーム。上位人気3頭はいずれも1戦1勝と、比較の難しいメンバー構成でのレースであった。
レースは、サヤカチャンがハナを切り、ラッキーライラックは初戦同様に好位からの競馬。スタートで後手を踏んだトーセンブレスは中団まで巻き返し、ウラヌスチャームは後方集団で脚をためる展開。前半800mの通過は47秒5という、淀みのない流れで進んでいった。その隊列のまま4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線は横に大きく広がった追い比べとなり、懸命に振り切ろうとするサヤカチャンだったが、残り200mを切った辺りで外からラッキーライラックが交わして先頭に立つ。
トーセンブレスは初戦のような爆発力が見られず馬群の中でもがく形となり、ウラヌスチャームはさらに後ろで伸びを欠いていた。前はそのままラッキーライラックが押し切って勝利。交わされてからもしぶとく食らいついたサヤカチャンが2着に入り、こちらも先行策から粘り込んだラテュロスが3着となった。
ラッキーライラックはその後、阪神ジュベナイルフィリーズを制して2歳女王に輝いた。同世代にアーモンドアイがいたため、牝馬3冠には縁がなかったが、古馬になってからG1タイトルを3つ積み重ねる。アーモンドアイを筆頭にして、非常にレベルの高い世代であった。