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⑤2019年(勝ち馬メドウラーク)

 アップトゥデイトとラヴアンドポップでの一騎打ちの翌年となる、2019年の阪神ジャンプステークス。この年人気を集めたのは、同年の中山GJ2着の実績馬シンキングダンサー。

 障害入りしてから19戦のうち18戦で金子騎手が騎乗していたが、今回はテン乗りの石神騎手とのコンビで出走していた。JG1での2着がありながら、重賞勝利は東京ジャンプSのみだったため、斤量は他馬と同じ60キロ。単勝1.8倍と頭ひとつ抜け出した1番人気に支持され、発走を迎えた。

 レースは、メドウラークがハナを切り、単騎逃げの形で後続を離していく。注目のシンキングダンサーは、序盤は好位集団の中から進める展開となった。その好位集団がバラけ始めたのは、2周目の向正面あたりから。2番手に浮上してきたのは、10年連続連対がかかる高田騎手騎乗のサトノエメラルド。その後ろにシンキングダンサーがつけ、この2頭がメドウラークとの差を徐々に詰めていく。3角手前では1馬身ほどに詰めていたサトノエメラルドであったが、またメドウラークが3馬身ほどの差に広げ、4角を回って最後の直線へと向かう。

 逃げるメドウラークは、直線に入ってもしぶとく粘り込む。それを内からサトノエメラルド、外からシンキングダンサーが追いかけ、最終障害の飛越でシンキングダンサーが2番手に浮上。さらにメドウラークとの差を1完歩ずつ詰めていく。最後はクビ差まで迫ったが、メドウラークが逃げ切って勝利。サトノエメラルドは3着に敗れ、高田騎手の連対記録は9年連続でストップした。

 勝ったメドウラークは、嬉しい障害重賞初勝利。平地時代に七夕賞を制していたため、平地・障害両重賞制覇を達成した。これはジャンプレースのグレード制導入後では、史上5頭目の記録となった。

 このように、スピードタイプのハードラーの活躍も見られる舞台設定ながら、施行時期が9月のため中山大障害のステップレースとしても注目の阪神ジャンプステークス。

 今年は中京の地でどんなレースが繰り広げられるのか、楽しみにしながら見ていきたい。

(文●中西友馬)

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