HOME » コラム » 5選 » 武豊に初G1をもたらしたスーパークリークなど!名馬だらけのクラシック最終戦【菊花賞 名勝負5選①】 » ページ 4

Manhattan Cafe

④2001年(勝ち馬マンハッタンカフェ)

 菊花賞の醍醐味と言えば、春の実績馬vs夏の上がり馬という構図。そして夏の上がり馬の代表的な馬、マンハッタンカフェが勝利したのが、2001年の菊花賞である。

 この年のクラシック路線で、早々に頭角を現したのはアグネスタキオン。デビューから4戦4勝で皐月賞を制した「光速の貴公子」は、全兄アグネスフライトに続いてのダービー制覇間違いなしと見られていた。しかし皐月賞後に屈腱炎を発症。日本ダービーへの出走は叶わず、その後現役引退を発表。無敗のままターフを去ることとなった。

 そして皐月賞馬不在のダービーは、皐月賞3着のジャングルポケットが勝利し、皐月賞2着のダンツフレームが2着。皐月賞の2.3着がダービーでワンツー決着となり、この2頭を問題にしなかったアグネスタキオンの強さが改めて浮き彫りとなった。

 一方その頃、秋の主役マンハッタンカフェは、まだ500万下(現1勝クラス)の身であった。4月の500万下特別アザレア賞で11着に敗れた後は、馬体成長を兼ねての放牧に出され、復帰したのはダービーもとっくに終わり、菊花賞まで3ヶ月を切った8月。

 しかし、この富良野特別を+46キロという別馬のような馬体で制したマンハッタンカフェは、続く阿寒湖特別も制し、夏の札幌で古馬相手に連勝。続くセントライト記念は4着に敗れたが、主戦の蛯名騎手に戻っての菊花賞であった。

 1番人気はダービー馬ジャングルポケットで、2番人気は皐月賞、ダービーともに2着のダンツフレーム。3番人気に札幌記念でジャングルポケットを破っている外国産馬エアエミネムが入り、マンハッタンカフェは6番人気で発走を迎えた。

 レースは、マイネルデスポットがハナを切る展開。エアエミネムは好位から進め、人気馬の中では一番前の位置どり。ジャングルポケットは中団からの競馬となり、マンハッタンカフェは後方から。さらにその後ろに構えるダンツフレームは、最後方からの展開となった。

 縦長の馬群のわりにペースは上がっておらず、最初の1000m通過は63秒0。そこからもペースは上がらず、次の1000mも64秒2で通過。先行馬有利な流れの中、マンハッタンカフェが内からポジションを上げ、ジャングルポケットを交わして好位につけると、エアエミネムと並んで4角を回る。

 直線に入っても、後続との差をキープするマイネルデスポット。残り200mではまだ後続に5馬身の差をつけて先頭。馬群を縫ってマンハッタンカフェが2番手に上がり、外からはエアエミネムとジャングルポケットも追う。

 マイネルデスポットの逃げ切りかと思われたが、残り100mからマンハッタンカフェがグングンと差を詰めると、ゴール前で測ったかのように半馬身捕えて勝利。見せ場を作った単勝11番人気マイネルデスポットが2着に入り、エアエミネムが3着。春の実績馬、ジャングルポケットとダンツフレームはそれぞれ、4着と5着に敗れた。

 重賞初勝利でG1制覇を果たしたマンハッタンカフェはその後、年末の有馬記念でも「世紀末覇王」テイエムオペラオーらを相手に勝利。翌年の天皇賞春も制し、G1タイトルを3つ獲得する活躍を見せた。

1 2 3 4 5 6