③1999年(勝ち馬ナリタトップロード)
ライスシャワーの勝利から7年が経った1999年の菊花賞。この年のクラシック路線は、3強による争いが繰り広げられていた。
まず皐月賞では、テイエムオペラオーが勝利して1冠目を奪取。そして続くダービーでは、皐月賞で1番人気を裏切ったアドマイヤベガが巻き返して勝利。ダービー馬に輝いた。そんな中、3強の一角ながら、皐月賞3着、ダービー2着と苦杯を舐め、未だG1タイトルがなかったのが、ナリタトップロードであった。
皐月賞トライアルの弥生賞ではアドマイヤベガを下し、ダービーでも1番人気に支持されてクビ差2着と、能力は前出2頭にヒケを取らないことは証明済み。あとはG1タイトルがないだけのナリタトップロードが、どうしても手に入れたい最後の1冠を懸けて出走したのが、菊花賞であった。
1番人気はダービー馬アドマイヤベガで単勝2.3倍。2番人気に皐月賞馬テイエムオペラオーが単勝3.5倍で続き、ナリタトップロードは3番人気。しかし単勝4.1倍のナリタトップロードに対し、4番人気のラスカルスズカは単勝21.5倍。戦前から、完全に3強対決と見られていた。
レースは、タヤスタモツが好スタートを決めるも、その外からメジロロンザンがハナを切る。しかし、1周目のゴール板辺りで再びタヤスタモツが先頭を奪い返し、逃げる展開となる。
ナリタトップロードは好位のインから進め、3強の中では一番前の位置どり。テイエムオペラオーとアドマイヤベガはともに中団からの競馬となり、アドマイヤベガがテイエムオペラオーの外につける形となった。そのままの隊列でレースは進み、馬群が凝縮した展開で4角を回って最後の直線へと向かう。
直線に入ってもメジロロンザンが先頭をキープしていたが、その外へと持ち出したナリタトップロードが残り300m辺りで交わして先頭へと立つ。さらにその外からラスカルスズカとテイエムオペラオーが追い込んできて、さらにその後ろにアドマイヤベガとなる。
逃げるナリタトップロードをラスカルスズカとテイエムオペラオーがジリジリと追い詰めたが、なんとか凌ぎきったナリタトップロードが勝利。クビ差の2着にテイエムオペラオー、さらにクビ差遅れた3着にラスカルスズカが入り、アドマイヤベガは伸び切れず6着に敗れた。
勝ったナリタトップロードは、待望のG1初制覇。その後はG1タイトルを7つ獲得したテイエムオペラオーに阻止されてG1には縁がなかったが、5歳時の阪神大賞典では、3分02秒5という、当時の芝3000m世界レコードを樹立。3強の中で一番息の長い活躍を見せ、現役引退までに重賞タイトルを7つ獲得した。