⑤2021年(勝ち馬ソングライン)
ノームコアが勝利した翌年の2020年、富士ステークスはG2へと格上げ。格上げ2年目となった2021年は、この後トップマイラーへと駆け上がる3歳牝馬ソングラインが主役となった。
ソングラインは桜花賞こそ15着に敗れたが、NHKマイルカップでは牡馬相手にハナ差の2着。古馬との初対戦となった関屋記念では1番人気を裏切ったが、52キロという斤量利もあって、ここでも1番人気に支持されていた。
2番人気は同じ3歳馬のダノンザキッド。2歳時にホープフルステークスを勝っている実績馬で、皐月賞以来久々の実戦であった。3番人気は4歳馬のロータスランド。前走の関屋記念では、ソングラインを破って勝利。さらに、前走で3キロあったソングラインとの斤量差が2キロに縮まっており、ここも有力視されていた。
レースはロータスランドがハナを切り、前半600mの通過は35秒3と、少しゆったりめの入り。ソングラインはあまり良いスタートではなかったが、巻き返して中団位置を確保。そしてそのすぐ外にダノンザキッドがつける展開となる。その隊列のまま、4角を回って最後の直線へと向かう。
ロータスランドが先頭をキープしていたが、馬群の中から抜け出してきたソングラインが、残り200mを切ったところで交わして先頭に立つ。そこに大外から襲いかかったのが、道中最後方を追走していたサトノウィザード。1完歩ごとに差を詰めるが、クビ差まで迫ったところがゴール。ソングラインが重賞初制覇を飾った。
ソングラインはその後、翌年の安田記念でG1初制覇。5歳時にはヴィクトリアマイルと安田記念を連勝して、安田記念に関しては連覇を達成。トップマイラーの座を確固たるものとした。今後は繁殖牝馬としての活躍にも、期待が集まる。
すでにG1を勝っている馬はもちろん、後にG1を勝つ馬の勝利も目立つ富士ステークス。直後のマイルチャンピオンシップだけでなく、その後の活躍を考えても、必見のレースである。